【中医協】亜急性期も「病棟単位」「入院データ提出」/ 中医協・入院分科会で論点
厚生労働省は7月17日、中医協「入院医療等の調査・評価分科会」(分科会長=武藤正樹・国際医療福祉大大学院教授)の中間取りまとめに向け、亜急性期医療の3つの機能をより明確に示し、一般病床に限定せず療養病床など他の種別の病床でも、亜急性期病床に期待される機能を満たせば算定できるとの新たな論点を示した。5月30日の同分科会での議論の結果を踏まえたものとしている。
亜急性期病床が地域医療で果たす役割は▽急性期からの受け入れ(入院患者の重症度、看護必要度の設定など)▽在宅・生活復帰支援(在宅復帰率の設定など)▽緊急時の受け入れ(2次救急病院の指定、在宅療養支援病院の届け出など)―の3機能。新たな論点として▽亜急性期病床の役割として入院患者に提供されている医療内容のデータの提出▽亜急性期病床に期待される機能に関する要件を設定した上で評価を充実させる▽病室単位から病棟単位の評価―の3点を挙げた。
●入院患者のデータ提出要件に賛否
これらの論点をめぐって日本慢性期医療協会長の武久洋三委員(医療法人平成博愛会理事長)は、亜急性期病床の3つの機能は理解できるとして賛同した。健保連理事の智英太郎委員は「亜急性期病床は病棟単位でいいだろう」とした上で、亜急性期病床の機能に基づく要件として「重症度・看護必要度、在宅復帰率、急性期からの患者受け入れに加えて、提供した医療に関するデータ提出を要件にすべきだ」と述べた。智委員は提供されたデータを制度設計に有効に活用していく重要性も指摘した。武久委員も入院患者のデータ提出を進めるべきとの考えを示した。
一方、全日本病院協会副会長の神野正博委員(社会医療法人董仙会理事長)は「亜急性期については、医政局の病床機能情報の検討会との整合性を取ってもらいたい」と指摘した。日本医師会常任理事の石川広己委員(千葉県勤労者医療協会理事長)も「2つ目の論点(亜急性期病床に期待される機能に関する要件を設定した上で評価を充実させる)は整合性のない中で議論を進めるべきでない」と指摘した。
事務局の厚労省保険局医療課は、医政局の議論を承知しているとしたものの、「病床機能分化は待ったなしの議論であり、われわれとしては議論を進めたい」と説明した。
分科会後、石川委員は取材に対し「整合性を取っていくことは大事だ。データの提出など、まだ決め打ちしたくない」と述べ、慎重に進めてほしいと強調した。(7/18MEDIFAXより)