【中医協】亜急性期の機能とは、明確化へ議論開始/中医協・入院分科会
厚生労働省の中医協「入院医療等の調査・評価分科会」(分科会長=武藤正樹・国際医療福祉大大学院教授)は5月30日、亜急性期医療の機能や、亜急性期入院医療管理料の議論に着手した。亜急性期の機能をより明確化して検討を進めることで、ほぼ一致。回復期リハビリテーション病棟と分けている意味を問う意見も出た。
亜急性期入院医療管理料は2004年度診療報酬改定で新設。12年度改定では評価体系を一部見直し、リハビリなしの管理料1を2061点、リハビリありの管理料2を1911点とした。管理料2は回復期リハビリテーション病棟入院料1と同じ点数にそろえた。
厚労省は12年度の入院医療調査結果を示し、亜急性期入院管理料の患者の特徴などを説明。亜急性期のない一般病棟13対1や回復期リハビリ1の患者と、病名がおおむね重複していることや、レセプト請求金額が回復期リハビリ1の患者より少なく、13対1の患者より高いことを示した。亜急性期入院管理料の算定内訳では、リハビリありの管理料2が88.2%を占めた。在宅復帰率は7対1病棟よりも高い病室が多かった。
議論では、亜急性期病床が約1万7500床にとどまっていることなどから「概念が十分に定まっていない。もう一度きちんと定義付けすべき」(石川広己委員=千葉県勤労者医療協会理事長)、「このような病床だと役割をはっきりさせるべき」(香月進委員=福岡県保健医療介護部医監)など、「亜急性期とは何か」という論点が浮上。智英太郎委員(健保連理事)は「亜急性期入院医療管理料を算定している患者像は、13対1と回復期リハビリに比べ大差ない。しかし、レセプト請求額は13対1を上回る。今後も管理料を継続させるなら、亜急性期の病院機能を明確化しておく必要がある。急性期患者の受け入れや在宅復帰率の強化について深掘りした検討が必要だ」と問題提起した。
亜急性期の存在意義については、武久洋三委員(医療法人平成博愛会理事長)が「急性期的要素を持つ慢性期病床は必要だが、今の亜急性期をそのまま拡大しても意味がない」と指摘。対して佐進委員(国立病院機構関門医療センター病院長)は「今後のベッドシフトのために魅力的な誘導装置だ」と評価した。議論は亜急性期と回復期リハビリの関係性にも及び「両者の差はあまりなく、分けなくてもよい」(嶋森好子委員=東京都看護協会長)、「分ける必要があるのか」(武久委員)などの疑義が出た。
●論点に「病棟単位への移行」も
厚労省は会合に、今後の亜急性期医療に求められる機能として▽急性期からの受け入れ▽在宅・生活復帰支援▽緊急時の受け入れ―の3点を示し、複数の委員が賛同した。3つの機能を基に位置付けを明確化する。議論の論点としては▽現行の病室単位から病棟単位の評価に移行させることをどう考えるか▽亜急性期機能を持つ療養病棟の存在をどう考えるか─などを挙げた。(5/31MEDIFAXより)