【中医協】サ高住の住所地特例、慎重論も/社保審・介護保険部会
厚生労働省は10月2日の社会保障審議会・介護保険部会に、「住所地特例」の対象にサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を加えることを提案した。委員からは賛同する声があった一方で、拡大に向けて検討すべき課題も多く指摘された。反対意見もあった。
住所地特例は、被保険者が施設に入所するため住所を移した場合でも、前の自治体が引き続き保険給付を負担する制度。サ高住は2012年に創設されたが、特定施設入居者生活介護の指定を受けていない賃貸型のサ高住は住所地特例の対象外となっている。特定施設入居者生活介護の指定を受けているのは約5%、賃貸借方式を取っているのが88%のため、大半が住所地特例の対象外となっており、一部の市町村から財政負担に関する懸念が出ていた。
厚労省は▽有料老人ホームに該当するサ高住を住所地特例の対象にする▽現行、住所地特例対象者は地域密着型サービスや地域支援事業を利用できないが、利用できるようにする―を提案した。
結城康博委員(淑徳大教授)は、おおむね賛同するとしつつも「サ高住で住所地特例を使うことは諸刃の剣」と指摘。供給が過度な需要を生むというような要素を忘れてはいけないとし、何らかの対策を検討する必要性を指摘した。鷲見よしみ委員(日本介護支援専門員協会長)も必要性を示した上で「地域密着型サービスの検討を踏まえると、運営推進会議など第三者が関与する機能の強化が必要」と述べた。
一方、都道府県の立場から発言した小島誉寿参考人(神奈川県保健福祉局福祉部高齢社会課長)は「市町村にとっては住所地特例を適用するとなると、当然事務が煩雑になる」と指摘。住所地特例は例外中の例外として扱うべきだとして「安易に拡大することについては反対」と表明した。
●納付金の総報酬割、後期医療見て検討
会合では、介護納付金の総報酬割と介護サービス情報の公表制度についても取り上げた。厚労省は、介護納付金について、第2号被保険者の中でも負担の応能性をできる限り高める必要があると指摘。介護納付金の総報酬割導入は、後期高齢者医療制度での検討を踏まえて検討すると提示した。導入する方向について委員からは、これまでの議論と同様に賛否両方の意見が出た。
介護サービス利用者が事業所・施設を選択するための介護サービス情報の公表制度について厚労省は、地域包括ケアシステム構築の観点から地域包括支援センターや生活支援サービスについても情報発信することを提案した。
また、「都市部の高齢化対策に関する検討会」が取りまとめた報告書の報告もあった。今回で検討事項については議論が一巡した。次回からさらに議論が必要な項目について議論を行う予定。(10/3MEDIFAXより)