【中医協】コスト調査、実施意義で見解割れる/中医協・ 基本問題小委が再開
中医協は4月25日、2009年12月以来約2年半ぶりに診療報酬基本問題小委員会(小委員長=森田朗・学習院大法学部教授)を開き、基本診療料の在り方に関する検討を開始した。初回の議論となったこの日は、コスト調査を行う意義をめぐり、疑問視する支払い側と、必要性を主張する診療側がそれぞれの見解を表明した。
厚生労働省がこの日の会合に示した「検討の視点」では、基本診療料によって提供される医療サービスの内容や、基本診療料の水準と提供される医療サービスにかかるコストとの関係をどう考えるか、などを挙げた。
西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は、基本診療料に関してこれまで必ずしも根拠に基づく改定が行われてきたわけではないとの見方を示し「今後、ぜひ根拠に基づく改定が行えるような方向に持っていきたい」と小委での議論に期待感を示した。
一方、支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)は、コスト調査の実施をめぐり「目的がはっきりしない。手段も相当、難しそう。場合によっては診療報酬体系を全部変えなければいけないような話になる」と必要性を疑問視。「それぞれの診療報酬項目についてコストを分析するという案については全く反対」と主張した。
西澤委員は「支払い側としての気持ちはよく分かるが、根拠に基づくと言いながら、本当に根拠に基づきながらやってきたのか」と指摘。基本診療料の構成を明らかにした上で議論を進める必要性を強調した。「入院基本料とはどういう経費なのかと聞かれても、われわれはなかなか答えられない。患者に答えるためには、どのようなものが入っているのか、ということも必要ではないか」とも述べた。
鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、10年度改定で診療所の再診料を引き下げた経緯の検証などを行う必要性を指摘した上で「コストだけではなく、地域医療を守るという観点からの評価の在り方もぜひ検証してもらいたい」とした。
次回会合は6月上旬に開催する予定で、引き続き検討を進めていく。小委では、14年度の次期診療報酬改定に反映可能と考えられる検討事項の整理を12年度前半に行う予定で、その他の事項については14年度改定後、引き続き検討する。(4/26MEDIFAXより)