【中医協】「著しく高額」など原則提示/費用対効果専門部会
厚生労働省保険局医療課は6月27日の中医協・費用対効果評価専門部会(部会長=関原健夫・日本対がん協会常務理事)で、費用対効果評価の導入を検討する「医療技術」の対象範囲について基本原則を示した。▽希少疾病に対する医療技術は対象除外▽代替性がない医療技術は対象除外▽代替性がある医療技術と比較して著しく高額である―とする方針。また、原則には出席委員の提案を受けて「有効性・安全性が確立された医療技術である」ことも盛り込む考えも示した。費用対効果評価の結果だけで、保険収載や償還価格を判定・評価することはないという原則も示した。
医療課は費用対効果評価の導入に向けた部会での検討について、関係者の理解を得られる制度設計・運営を前提にする考えを強調。議論を踏まえ、7月中に開催する次回会合(第3回)をめどに「対象技術」「評価結果の活用」の原則といった制度の基本的な考え方を部会で確認し、続く第4回・第5回会合で「評価手法(費用の範囲、効果指標など)」「評価の活用方法(保険収載や価格への評価の反映)」といった運用手法について議論して12年秋ごろに部会の考えを整理したいと提案した。
運用手法の検討では、先進医療専門家会議が費用対効果の視点で検討が必要と指摘している「粒子線治療」を具体的な技術例として取り上げる考えを示した。粒子線治療を取り上げて議論を整理することに対し、出席委員からは「導入ありき」の議論になりかねないという懸念が示されたが、医療課は当面の検討は2014年度診療報酬改定での試行的導入が前提ではないと説明し、理解を求めた。
また医療課は、原則や運用手法について部会が合意した後の、対象技術の選定や試行的導入への流れについても提案した。診療報酬については基本問題小委員会で、薬価は薬価専門部会で、保険医療材料価格は保険医療材料専門部会で、それぞれ対象となる医療技術の選定ルールを整理する。ルールに沿って選定した個別技術の評価は、医療技術評価分科会(診療報酬)、薬価算定組織(薬価)、保険医療材料専門組織(医療材料)でそれぞれ実施する方向性を示した。
●鈴木委員「費用対効果は時期尚早」
部会では鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)が、費用対効果評価の議論について「そもそも時期尚早だ」と述べた。鈴木委員は費用対効果の評価対象となる技術は有効性が確立されたものであるべきだと主張。新制度の基本的な考え方は粒子線治療の検討だけでなく、他の医療技術についても検討した上で整理すべきとの考えを示した。(6/28MEDIFAXより)