【中医協】「実質マイナス改定率」に怒りの抗議/中医協総会で診療側  PDF

【中医協】「実質マイナス改定率」に怒りの抗議/中医協総会で診療側

 中医協総会が12月25日開かれ、次期診療報酬改定の改定率(本体改定率プラス0.1%)について、診療側が「今回の改定率には怒りを覚え、強く抗議する」との見解を示した。

 口火を切った安達秀樹委員(日本医師会・社会保険診療報酬検討委員会委員長)は「歯ぎしりするほど悔しい。薬価改定率がマイナス0.63%(補填分込み)、診療報酬本体の消費税対応分0.63%と同じ数字だ。偶然ではないはずだ。税に関わる非課税分の対策は当然、税収増で賄われるのが、国家財政の基本的運用の常識だろう。それを充てずに薬価引き下げ分で充当した。国家財政の運用上、税収の運用上、ルール違反に限りなく近い対応だ。この対応に対して、われわれは極めて厳しい批判をしたい」と述べた。

 さらに、「全体改定率は0.1%で、考えようによっては、消費税非課税による医療機関への手当て1.36%のうち、1.26%は医療機関が持ちなさいと言われたに等しいという解釈が成り立つかもしれない。実質上1.26%の引き下げだ。病院の損益分岐点が97%になろうとしているときに、1.26%の引き下げは損益分岐点が限りなく100%に近づくことだ」とし、「過去2回のプラス改定でまだ回復していない医療に対してのマイナス改定は、医療崩壊を加速させることを予見させる。こうしたことに対する政府見解がないことについて激しく抗議をする」と強調した。

 中川俊男委員(日本医師会副会長)も「私は医療部会で厚労省に対し、従来の改定と消費税対応分を明確に切り分けた予算編成をお願いした。ところが、今回の予算編成は分かりにくい形で行われ、非常に悔しい思いをしている。薬価引き下げ財源は、社会保障給付費国庫負担2200億円の削減のときでも財政当局が改定財源と認めてきたものだ。これを手放すとなればZ2(長期収載品の特例的引き下げ)を設定した議論はどうなるのか、はなはだ心配になる」とし、厚労省に対し「健康保険法で薬剤は診察等と不可分と明記されている。今後の改定において、薬価引き下げ財源を本体の改定財源にしないということが前例にならないよう全力で阻止していただきたい」と強く求めた。支払い側委員からは、改定率は閣議決定された事項であるとして発言はなかった。(12/26MEDIFAXより)

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