【中医協】「実績乏しい強化型」の在り方は/在支診・在病で中医協総会
厚生労働省は6月26日の中医協総会(会長=森田朗・学習院大教授)に、2012年度診療報酬改定で新たに導入した機能強化型の在宅療養支援診療所(強化型在支診)と在宅療養支援病院(強化型在支病)の実績(12年4−9月)を提示した。緊急往診や看取りを全く行っていない強化型がある一方で、半年間で緊急往診5回以上、看取り2回以上の実績のある一般の在支診・在支病が存在した。強化型では緊急往診は主治医が行っていることがほとんどだった。こうした結果から厚労省は▽強化型の実績が乏しい場合、医療機関連携の在り方をどう考えるか▽緊急往診や看取りなどで一定程度の成績を確保している一般の在支診・在支病の評価をどう考えるか─などを論点に挙げた。
●実績だけでなく「面」で評価を/診療側
西澤寛俊委員(全日本病院協会長)ら診療側委員は、6カ月間のデータだけで強化型の実績を評価することは難しいと主張。西澤委員は「在宅医療の充実は重要だ。強化型は、看取りや往診がないから問題ということではなく、グループとして面として評価すべきだ」とした上で「ただ、常に実績がないのに強化型に入っていることがよいとはいえない。強化型の面としての広がりを育てていくことが必要だ」と述べた。
鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事会)も「強化型の仕組みをつくるには時間がかかる。地域包括ケアの構築とともに郡市医師会の取り組みを見守ってもらいたい」とした。
安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は「在支診や在支病以外の診療所や病院でも在宅医療を推進している現状を十分認識してもらいたい」と述べ、京都府医師会や京都私立病院協会などが展開している在宅医療に関する取り組みを紹介した。
●緊急往診ゼロに問題意識/白川委員
これに対して支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)は、強化型で体制整備が進められている段階にあることには一定の理解を示しながらも「緊急往診をほとんど主治医が行っているのは、チーム連携がうまく進んでいないからではないか。緊急往診ゼロ回という強化型の比率が高すぎるような気がする。次期診療報酬改定に向け議論していく」と問題意識を示した。
在支診と在支病の必要数についても言及し「都道府県の医療計画の中で在宅医療が検討項目に盛り込まれれば、目標数を把握することができるのではないか。今後の診療報酬改定論議で参考にしていくべきではないか」と述べ、在支診・在支病についても適正数を把握しておく必要があるとした。
厚労省保険局医療課の宇都宮啓課長は、強化型を拡大していく必要性を示しながらも「だからといって実績がなくてよいのか。実のあるもの(制度)にしていくにはどうしていくか、(今後も)中医協で議論していただく」とした。
このほか厚労省は高齢者住宅での在宅医療の課題なども提示した。(6/27MEDIFAXより)