【中医協】「在宅は万能ではない」と診療側/支払い側は「全体像の議論を」
中医協総会で2月13日、「在宅医療」の議論が始まった。議論が本格化するのは、今年度中にも取りまとめる2012年度診療報酬改定の検証調査で、在宅医療の実施状況や医療・介護の連携状況などが明らかになってからとなるが、出席委員らは次期改定に向けて在宅医療の課題について自由に発言した。
厚生労働省保険局医療課が、保険診療上、不適切と考えられる事例が在宅医療現場の一部で発生している可能性を指摘した。診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、介護保険制度が営利企業の参入を認めたことに伴う在宅医療現場での医療保険上の問題に懸念を表明。「悪質な事例や事業者は排除しなければならない」と主張した。一方で鈴木委員は「在宅医療は万能ではない」とも述べ、日本は諸外国に比べて入院や入所の費用は安いが、医療・介護必要度が高い患者(利用者)の場合には必ずしも在宅の方が安いとは限らないとし、在宅医療の請求が高いからといって不適切であるとは限らないと指摘した。
安達秀樹委員(京都府医師会副会長)も、介護保険では要介護認定によって給付内容が規定されており、規定を超える利用が必要になった場合には自己負担となって患家の経済的負担が大きくなると指摘。「在宅の方が(病院や施設よりも)高くなるケースは多々ある」と述べ、介護保険制度を柔軟に変えていく必要があるとの認識を示した。
支払い側では白川修二委員(健保連専務理事)が、12年度改定では在宅医療の推進や医療・介護連携が重点課題となったものの、制度上の手だてについては「不十分だったのではないか」との印象を述べる一方、「在宅医療は次期改定の重要なテーマになる」との認識を示した。白川委員は過去2回の改定では「地域包括ケア」のような全体像が示されていなかったために、一部の評価の見直ししかできていない感じがするとし、今後の中医協での議論では「全体的なコンセプトをどうするのか、もう一度話し合った方がよい」と提案した。
また、在宅医療を推進する上で、算定要件や施設基準が障害となっていないかとの懸念を示し、「いろいろな制限があるために動きにくいこともあるのではないか」と要件見直しを求める姿勢を示した。(2/14MEDIFAXより)