【中医協】「同一建物」の減算、対象を明確化/「医師来ない」の懸念払拭へ
2014年度診療報酬改定で実施する「同一日同一建物」への訪問診療の適正化で、厚労省は訪問診療料の減算について▽往診を実施した患者▽末期の悪性腫瘍患者▽死亡日からさかのぼり30日以内の患者─は、減算患者に数えない措置を取る方針を決めた。同一建物の訪問診療の減算によって「医師が来なくなる」との現場の懸念を払拭するための措置。サービス付き高齢者住宅などの集合住宅に医師が訪問しなくなる事例が発生した場合は、医師会などと連携して迅速に対応する。
3月5日の14年度改定官報告示に合わせて、厚労省が地方厚生局や都道府県の医療保険事務担当者を対象に開いた改定説明会で明らかにした。
同一日の同一建物訪問では、在宅時医学総合管理料(在総管)と特定施設入居時等医学総合管理料(特医総管)も減算されるが、この減算は「同一建物以外」の訪問診療を月1回でも行った患者は対象外とする。同一世帯の夫婦の診察も例外とする。
14年度改定では、いわゆる「患者紹介ビジネス」への対応のため、同一日の同一建物での複数訪問診療を適正化する。訪問診療料、在総管、特医総管を大幅に引き下げる措置で、高齢者施設から「医師が来なくなる」などの懸念が出ていた。
保険局医療課の宇都宮啓課長は3月5日の説明会で「真面目に訪問診療をしているところへの影響という話があり、現場と話し合った」と述べ、不安払拭につながる複数の要件を説明。「集合住宅関係で一番の心配は医師が来なくなること。そうした事態が発生すれば直ちに医師会などから紹介していただく」と医師確保策にも言及した。
宇都宮課長はまた、「訪問診療は通院困難な事例で可能。このことを明確にして、適切な診療を行っていただきたい」と求めた。
●1人の患者のみ診療は減算されず
医療課の一戸和成課長補佐も同一建物適正化について説明した。「施設に訪問すると、1人の患者のみでも減算されるという誤解が生じている」と述べ、何人居住している施設を訪問しても1人の患者のみを診療する場合は減算されないと強調した。
往診を実施した患者を減算患者にカウントしないことについては、具体例を挙げて説明。「例えば午前中に訪問診療で計画的に患者を診療し、午後に別の訪問診療をしている患者が急変して往診した場合は同一建物減算の患者数から除外される」と話した。(3/6MEDIFAXより)