【中医協】「うがい薬のみ処方は保険外」に異論続出/中医協総会
「文脈的に無理」「中医協らしくない」―。厚生労働省が12月25日の中医協総会に提案した「うがい薬のみの処方を保険の対象から外す」ことについて、診療側、支払い側の双方から異論が相次いだ。厚労、財務両大臣の予算折衝ですでに合意している案件だが、森田会長は「さらに検討する」と引き取った。
田村憲久厚生労働相と麻生太郎財務相は、診療報酬の改定率を含む2014年度予算案の大臣折衝の中で、うがい薬のみを単剤処方する際に保険適用から除外することで合意した。本来なら、中医協での議論を踏まえた上で決まる話だが、ぎりぎりの予算折衝を繰り返す中、トップダウンで決定した形だ。財政効果は国費ベースでマイナス約61億円。予算案は12月24日に閣議決定されており、覆すのは不可能ともいえる。
厚労省は総会に、うがい薬のみの処方を保険対象外にすることを提案。過去に政府の行政刷新会議や行政改革推進会議が、市販類似薬の保険外しを進めるべきだと進言し、うがい薬が例示されていたことを根拠に挙げた。保険局医療課の宇都宮啓課長は「うがい薬のみの処方は、なかなか考えにくく、保険から外す提案をした」と説明した。
厚労省の提案に中川俊男委員(日本医師会副会長)は「文脈的に無理がある。診察し、うがい薬だけで良しとするのは名医だ。保険外は非常におかしい」と反論。環太平洋連携協定(TPP)交渉に関した国民皆保険堅持の3条件の第一番目に「公的医療給付範囲を縮小しない」を掲げる日医の主張も説明し「その突破口になる。賛成できない」と明言した。
●中医協にはデータが必要
中川委員はまた、「こうした流れでは、医療用薬の安易なOTC化は進めるべきではないという態度を取らざるを得ない」と述べ、スイッチOTC化の促進に影響すると指摘。堀憲郎委員(日本歯科医師会常務理事)は「抜糸や切開など出血を伴う処置があると、単独でうがい薬を処方することは少なくない」と歯科治療の現場から慎重な検討を求めた。
支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)は「私は推進会議と似た意見」として、12年度改定でビタミン剤を単なる栄養補給目的で処方した場合に保険から外すよう見直したことに触れた。しかし「今回の提案では単にうがい薬のみを処方するのがどのようなケースか想像できない。中医協で提案するなら、いろいろなデータを示して議論せねばならない。刷新会議が指摘したから提案するというのでは、中医協らしくない」と不満を述べた。
森田会長の判断で議論は14年に持ち越されたが、大臣同士の決定事項であり、厚労省は事務方として、合意形成に向けた努力を続けることになる。(12/26MEDIFAXより)