【一体改革】社保拡大で健保組合400億円負担増/厚労省が試算
厚生労働省は3月19日の「短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」に、政府・民主党が決めた加入要件に基づいて短時間労働者に社会保険の適用を拡大した場合の財政影響試算を示した。医療保険では、国保で100億円の財政改善が見込める一方、健保組合では400億円の負担増となる。同部会は今回の会合で取りまとめに向けた議論を行うはずだったが、政府・民主党が既に具体的な要件をまとめたことから予定を変更。取りまとめは行わずに委員から意見を聞いた上で閉会し、同特別部会は「いったんの終了」を迎えた。
財政影響試算によると、2015年度ベースで協会けんぽが100億円、共済が80億円、国保が100億円、それぞれ財政改善する。一方、健保組合は全体で400億円の負担増。加入者の減少分で300億円の財政改善が見込めるが、増加分で700億円の負担増が生じると試算した。公費支出は400億円の削減となり、うち国費支出は300億円、地方負担は70億円、それぞれ減少する。適用拡大の対象者約45万人のうち、国保被保険者と健保被扶養者がそれぞれ半分程度を占め、健保組合に35万人、協会けんぽに10万人が加入するという前提で試算した。
厚労省は、適用拡大に伴い負担が大きくなる医療保険者を考慮した激変緩和の特例措置案も示した。短時間労働者の割合が多い一部の業種では、適用拡大で加入者の平均賃金が下がる一方、新規加入者の医療費負担に加え後期高齢者支援金や介護納付金の負担が増え、保険料率の大幅な上昇が見込まれる。そこで、各保険者に加入者人数で案分されている後期支援金(加入者割分)と介護納付金の算定について、月額報酬が一定水準に満たない人とその被扶養者の人数を補正する特例措置を講じる。この措置による負担減少分は、被用者保険内で分かち合うとした。(3/21MEDIFAXより)