【一体改革】一体改革、3党修正協議が決着/高齢者制度、国民会議で議論へ
民主、自民、公明3党による社会保障・税一体改革の修正協議が6月15日夜、決着した。社会保障分野では、政府の一体改革関連法案とともに、自民党が対案として示した法案骨子をベースとする「社会保障制度改革推進法案」についても、今国会で成立を図ることを合意文書に明記した。今後の社会保障制度を議論する「社会保障制度改革国民会議」を内閣に設置。高齢者医療制度などを議題とし、推進法の施行後1年以内に結論を得ることも盛り込んだ。
今後の高齢者医療制度改革については、あらかじめ3党間で協議することも確認した。
民主党はマニフェストに記載した後期高齢者医療制度廃止の方針を掲げたまま、国民会議での議論に臨む方針。廃止法案を、関係者の理解を得た上で今国会に提出するとした閣議決定も取り下げていない。合意後に記者団の取材に応じた細川律夫前厚生労働相は、廃止法案提出などのマニフェストは維持したまま合意したとの認識を示した。
国民会議の委員は20人以内で、首相が任命する。合意文書では「委員は国会議員であることを妨げない」と記した。長妻昭元厚労相は「有識者と国会議員が入る会議体の設置は、社会保障について与野党で一つの安定的な制度改革を成し遂げる土壌。政治文化の一里塚になればありがたい」と評価した。
衆院の特別委員会で審議中の法案に含まれた「短時間労働者への社会保険適用拡大」は、対象者の月額賃金の下限を7万8000円から8万8000円に変更するほか、実施時期を半年遅らせ、2016年10月1日施行とする。施行後3年までに適用範囲を拡大する規定も「3年以内に検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講じる」に改める。
3党は6月15日、断続的に協議を実施し、主張のすり合わせを図った。午後11時前に東京都内のホテルで社会保障分野の最後の修正協議を行い、各実務者が確認書にサイン。修正協議のタイムリミットである15日のうちに決着した。民主・自民間では前日までに方向性の一致を見いだしていたが、廃止法案の閣議決定取り下げを求める公明党との溝は同日まで埋まっていなかった。合意文書の中には「閣議決定された一体改革大綱その他の既往の方針のみにかかわらず幅広い観点に立って」国民会議で審議するとの文言を盛り込んでおり、公明党の主張を反映させた。
●これから党内論議
今後は党内議論に入る。細川前厚労相は「党内にもいろいろと意見はあると思うが、国民が安心して生活できる社会保障をしっかりやっていくことで、まとまると確信している」と自信を示した。自民党の鴨下一郎元環境相は「それぞれの党で手続きを経た後にどういう形になるかはこれから。党に持ち帰り執行部が判断すること」と述べた。
●消費税10%段階で「軽減税率」も検討
民主、自民、公明3党は社会保障と税の一体改革に関する税分野の修正協議も合意した。消費税率を14年4月に8%、15年10月に10%へそれぞれ引き上げることを認めた上で、消費税率を10%に上げる段階の低所得者対策として、政府が導入する予定の「給付付き税額控除」のほか「軽減税率」(複数税率)も検討することを盛り込んだ。
医療については合意文書で「消費税率の8%引き上げ時までに、高額投資にかかる消費税負担について、医療保険制度において他の診療行為と区分して適切な手当てを行う具体的な手法について検討し、結論を得る。また、医療に関する税制上の配慮等についても幅広く検討を行う」とした。
歳入庁については「年金保険料の徴収体制強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施」と規定した。(6/18MEDIFAXより)