【ワクチン】広範疼痛の理由は「心身の反応」と結論/HPVワクチン副反応
厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の副反応検討部会(部会長=桃井眞里子・国際医療福祉大副学長)は1月20日、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の副反応について、広範な疼痛や運動障害は「心身の反応」が理由と説明できると結論付けた。次回は報告書のとりまとめを行う。その後、発症頻度などの安全性の議論を行った上で、接種勧奨についての結論を出す。
2013年12月に行われた参考人プレゼンテーションや厚生労働省の報告を基に、桃井部会長が論点を整理して議論した。広範な疼痛または運動障害を来した症例のうち、まず関節リウマチ・ギランバレー症候群など既知の自己免疫疾患等については「ワクチンとの因果関係を示すエビデンスはない」との結論でまとまった。また、仮説として挙がっていた▽神経学的疾患(中枢神経・末梢神経)▽中毒(細胞傷害)▽免疫反応─の3つも「説明が付かない」とした。
最も説明が付きやすい仮説とされた「心身の反応」は、針を刺した痛みや局所の腫れ、緊張・恐怖・不安などのストレス、環境などが絡み合って身体の不調として表出されるもので、HPVワクチンは接種直後に局所の疼痛が起きやすいため、急性に現れる心身の反応のきっかけとなったことが否定できないと位置付けた。ただ、接種から1カ月以上経過してから発症した症例や、3カ月以上、慢性的に経過する心身の反応は、接種以外の要因が関与していると考えられるとした。
治療については、理学療法・認知行動療法などの身体的アプローチと心理的アプローチで、重症化・慢性化を防ぐことが重要だとした。接種時に注意すべきこととしては▽接種者にしっかり必要性の説明をする▽疼痛などの副反応があった場合は、その後の使用を延期する▽なじみのかかりつけ医が安心できる環境をつくる―との意見があった。(1/21MEDIFAXより)