【マニフェスト】TPP、判断基準に「皆保険堅持」/自民が公約、「課税化」検討も  PDF

【マニフェスト】TPP、判断基準に「皆保険堅持」/自民が公約、「課税化」検討も

 自民党は11月21日、衆院選の政権公約をまとめた。「日本を、取り戻す。」と題し、復興・防災、経済成長、社会保障などの分野で計328項目の公約を掲げた。消費税は「全額社会保障に使う」と明記し、医療への課税は医療機関や薬局の税負担の検証を踏まえて「引き続き検討」とした。生活保護制度改革は医療費扶助の抑制・適正化として後発医薬品の使用義務化に取り組む。環太平洋連携協定(TPP)は「聖域なき関税撤廃」を前提とした交渉参加には反対とし、交渉参加の判断基準に国民皆保険制度の堅持を挙げた。

 公約は持続可能で質の高い医療の実現に向けて11施策を列挙。「臨床研修医制度の見直し」「勤務医の処遇改善」「有床診療所などの機能強化・充実」「総合診療医の育成とかかりつけ医の導入」「救急医療機関の機能充実」「必要な医学部定員の確保」などを示した。このほか終末期医療などを想定し、患者の意思がより尊重される医療の実現に向けて見直しを進めるほか、予防医療総合プログラムの策定、検診を定期的に受診した場合に医療費の自己負担を軽減する誘導策の導入も明記した。

 消費税の課税の在り方は、医療機関などの税負担の検証を踏まえて検討する。医療提供者の高額投資に対する税負担は「医療保険制度において、他の診療行為と区分して手当てをする具体的な手法を税率8%引き上げ時までに検討し、結論を出す」とした。医療行為全般に対する税制上の配慮は「検討」にとどめた。

 生活保護制度改革では、医療費扶助の適正化にも触れ、後発品の使用義務化とレセプト電子化によるチェック機能の強化を掲げた。

 TPP交渉参加については「政府が国民の知らないところで、交渉参加の条件に関する安易な妥協を繰り返さぬよう、わが党として判断基準を政府に示している」とし、判断基準として▽聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対▽国の主権を損なうようなISD条項は合意しない─などとともに「国民皆保険制度を守る」を挙げた。

 国保の運営安定化や保険者機能の強化に向け、運営単位を市町村単位から都道府県単位に広域化する。共済健保と協会けんぽの統合も進め、被用者保険料率の平準化も目指す。高額療養費は限度額の引き下げを行い、社会保障番号の導入に合わせて医療・介護の総合合算制度を創設する。高齢者医療制度は「現行制度を基本」とし、必要な財源確保を前提に「国保、協会けんぽ、組合健保などの保険料率の上昇を抑制するなどして国民皆保険制度を守る」とした。(11/22MEDIFAXより)

●自民党政権公約(社会保障関連・要旨)
 ▽「自助」「自立」を第一に、「共助」と「公助」を組み合わせる▽社会保障は社会保険制度を基本とする▽公立病院の経営健全化と地域医療の充実▽全国でドクター・ヘリコプターの運用ができる体制整備▽がん対策の充実▽ワクチン施策の推進(ワクチンの研究開発促進、供給体制整備、新たなワクチン政策の確立)▽医療事故による死亡を含む死因究明制度の在り方を検討。死亡時画像診断システム整備事業の推進▽精神科医療の一層の推進(共生社会の実現や長期在院者対策)▽認知症対策の推進(地域ケアと施設ケアを統合した医療介護総合モデル体制の確立)▽看護職の処遇改善推進▽ヒトT細胞白血病ウイルス・難病・結核・腎疾患対策の推進▽薬局・医療機関の薬剤師の機能、役割拡充と活用▽リハビリテーションの提供体制強化(チーム医療推進や老人保健施設の在宅復帰機能、在宅支援の強化)▽漢方医学の推進▽再生医療を国民が迅速・安全に受けるための総合的施策の推進▽統合医療の推進▽介護保険サービスの充実と保険料の抑制(介護サービスの範囲の適正化などを通じたサービスの効率化・重点化、介護報酬の確保などで従事者の処遇改善を図る)▽介護支援専門員の積極活用▽在宅介護の支▽障害者総合支援法の推進▽柔道整復師の活動支援(柔道整復療養費の適正見直し、卒後臨床研修の制度化。柔道整復師の業務に関する算定基準の明確化と法整備)▽心理職の国家資格化▽国立大学法人運営費交付金など基盤的経費の安定確保▽イノベーション実現に向けた研究開発税制などの制度改革▽医薬品・医療機器の審査体制の充実強化

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