【マイナンバー】マイナンバーの経済波及効果を試算/年間2兆7858億円
日本生産性本部が事務局を務める「わたしたち生活者のための『共通番号』推進協議会」(代表=北川正恭・早稲田大大学院教授)は6月17日、共通番号を導入した場合の経済波及効果の見込み額を発表した。行政全般や医療・福祉、電気・ガスの使用料金明細などにも活用した場合、年間2兆7858億円に及ぶと試算している。
今回の試算は、共通番号導入により官民各分野でのコスト削減効果は年間約1兆1500億円とする試算を前提にはじき出した。2005年の産業関連表で他産業への波及効果を測定し、これに雇用者の所得増・消費増、経済成長予想などを反映させて総合効果とした。ただ、6月24日に成立したマイナンバー関連法では、利用範囲が社会保障と税および災害の分野に限られているため、現状では行政分野での年間約3000億円の経済効果にとどまる見通し。3年間利用した後、効率性や利便性、安全性を確認し、それまでに明らかになった課題を解決した後、あらためて利用範囲の拡大が検討されることになる。
試算を行った同協議会主査の須藤修・東京大大学院教授は「(同協議会)幹事である永井良三・自治医科大学長によると、医療分野で使われると重複診療などが大幅に解消されて1兆円を超える削減効果もあるという。厚生労働省から福祉分野での活用が提示されれば、さらなるコスト削減も見えてくる」とし、医療・福祉分野の経済効果がさらに増える可能性を示唆した。また「安倍政権の経済政策が成功すれば、さらに高い数値になる」とした。
4日に内閣情報通信政策監(政府CIO)に就任した遠藤紘一氏(リコージャパン元会長)は「どんなことをやっても情報の漏洩・悪用の確率をゼロにすることはできない。税・社会保障分野でも民間の情報などを使うので、最初の3年間で問題が起きたときに素早く対応して次に広げる予定」と述べた。「災害時のデータ保護や、生活保護を本来需給すべき人を判明させるといった、安心・安全社会の構築という側面も評価できる」との考えも示した。(6/18MEDIFAXより)