【ポリオ】単独IPV、9月に定期接種へ一斉切り替え/厚労省方針を了承
厚生労働省は4月23日の「不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会」(座長=岡部信彦・川崎市衛生研究所長)に、単独の不活化ポリオワクチン(IPV)を9月1日から定期接種として導入する方針を示し、同検討会は了承した。医療現場での混乱を避けるため、生ポリオワクチン(OPV)からIPVへの切り替えは一斉に行い、IPV導入後はOPVを定期予防接種で使用しないこととした。厚生科学審議会・感染症分科会予防接種部会の了承を得た上で、予防接種実施規則の改正手続きに入る。
IPVの導入をめぐっては、同検討会の構成員から「混乱を避けるために一斉切り替えが望ましい」という意見が、これまでの会合で多く上がっていた。
11月にジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオの4種混合ワクチン(DPT―IPV)が導入されることを前提に、厚労省は2012年度末までの単独IPVの需要量(2−3回の接種)を367.9万ドーズと推計。一方、単独IPVの供給量は12年度末までに477万ドーズを見込んでおり、12年度内には対象者が2−3回の接種ができるとみている。
ただ、9月の単独IPV導入を見据えて、12年春の定期接種を控える人が増えれば、その分、需要も増える可能性がある。ポリオワクチンを接種しないことで免疫を持たない人が増えれば、国内でのポリオ流行の危険性も高まることから、厚労省は9月の単独IPV導入まではOPVの接種を呼び掛けていく。
●接種回数は2回から4回へ
IPVの接種回数はOPVの2回から4回に増える。IPVの接種間隔と標準的な接種年齢は、単独・4種混合のいずれも、ジフテリア・百日咳・破傷風の3種混合(DPT)と同じとした。標準的な接種年齢は1期の初回接種が生後3−12カ月未満、1期追加接種が初回接種終了後12−18カ月未満とした。1期の初回接種は20日から56日までの間隔を空けて3回、1期追加接種(4回目)は3回目接種終了後6カ月以上の間隔を空けるとした。
ただ、DPTの既接種者、OPVの1回既接種者、医療機関が個人輸入したIPVの既接種者などがおり、接種間隔を一律に規定することが難しいため、9月の導入後3年程度に限り、単独IPVは56日以上の間隔を空けても接種可能とした。
OPVを1回も接種していない人は、原則として単独IPVを4回接種することとする。OPVを1回接種した人は、あと3回IPVの接種を行う。DPTをすでに接種している人については、残りの接種は4種混合(DPT―IPV)ではなく原則として単独IPVとDPTを使用することとした。 (4/24MEDIFAXより)