【ネット販売】新ルールづくりへ議論開始/ネット検討会  PDF

【ネット販売】新ルールづくりへ議論開始/ネット検討会

 厚生労働省は2月14日、「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」(座長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の初会合を開いた。ED治療薬など医療用医薬品を含め医薬品のネット販売が行われている中、検討会ではどの範囲までを想定してネット販売のルールづくりを議論するかが論点の1つになったが、一般用医薬品(OTC薬)の販売に限定し議論を進めることで合意。今後の議論を踏まえ、厚労省は省令改正のみか薬事法改正まで行うかを検討する方針だ。月に1−2回の割合で会合を開く予定。

●対面かネットかの議論は不毛
 OTC薬のネット販売をめぐる1月の最高裁判決では、省令で一律に第1類と第2類医薬品の郵便等販売を禁止していることは、薬事法の委任の範囲内と認められないとされた。後藤玄利構成員(日本オンラインドラッグ協会理事長)は、判決が憲法の「職業活動の自由」を掲げている点に言及し、新しいルールを検討する上で事業者の権利を制限することがないよう念を押した。國重惇史構成員(新経済連盟顧問)も「安易に立法化して(ネット販売を)禁止すればいいということにはならない」と指摘し、「対面かネットかの不毛な議論ではなく、どうすれば安全に薬が売れるのかの角度で議論するのが大事」と訴えた。

 一方、増山ゆかり構成員(全国薬害被害者団体連絡協議会副代表世話人)は、薬害の歴史を振り返り「問題がないから1類、2類を売れるんだという端的な判断にならないよう十分に議論してほしい」と注文を付け、問題発生時の責任の所在も明確化するよう迫った。森信構成員(日本チェーンドラッグストア協会理事)は「対面かネットかではなく、対面とネットを融合した中で最大限にいい方法はないかを考えるべきだ」と述べ、安全性を確保できればネット販売を検討する余地があることを示唆した。

 岩瀬大輔構成員(ライフネット生命保険代表取締役副社長)は、購入者の把握方法など具体的な論点を挙げ「ネットで販売を認めるとしたら、どういう条件を満たさなければいけないかを議論すべき」と提案した。

●法改正には十分な論拠が必要
 議論の範囲に関しては、医療用薬でもネット販売が行われている実態が指摘されたが、検討会ではOTC薬に限定することで意見が一致。ただ、「ネット販売でどういう問題が起きているかを認識して議論すべきだ」(日本医師会副会長の中川俊男構成員)との声もあり、ネット販売の実態に関する情報をメンバー間で共有することも確認した。

 薬事法改正に当たっては、法学の観点から小幡純子構成員(上智大法科大学院教授)が「営業上の自由があるので法律を変える場合であっても、はっきり明示するだけの論拠が国会で議論されないと憲法違反になる可能性もある」とし、十分な議論が必要だと指摘した。次回会合は27日を予定している。(2/18MEDIFAXより)

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