【ドクターヘリ】ドクターヘリ飛びすぎ悲鳴/運航会社、燃料費不足で
京都、兵庫、鳥取の3府県が関西広域連合で共同運航するドクターヘリの出動回数が想定を大幅に上回り、運航の委託を受けた民間会社が燃料費の不足に悲鳴を上げている。中山間地の救命救急にヘリは“命綱”となっているだけに、広域連合は委託料の引き上げを検討する。
ヘリの運航は2010年4月、兵庫県豊岡市の公立豊岡病院を拠点に始まった。航空事業やパイロット育成に取り組むヒラタ学園(神戸市)が午前8時半から日没前まで運航。時速約200キロで飛行し、京都、兵庫両府県の北部と鳥取県全域をカバーする。
兵庫県などによると、11年度の出動回数は1254回で飛行時間は約440時間。出動は兵庫県内からの要請が80%を占め、京都府17%、鳥取県3%と続く。
11年度の委託費は国の補助金を含めて約1億9000万円。ただ、飛行回数を約400回と想定しているため、超過分の燃料費やメンテナンス費は学園が負担した。
12年度の委託費は11年度と同額。「飛べば飛ぶほど負担が増える」(兵庫県の担当者)ため、学園は11年から委託費の引き上げについて豊岡病院を通じて打診。不足額を「数千万円」と伝えているという。
3府県の飛行地域は山間部が多く医療機関も点在。救急車では患者の搬送に時間がかかるためヘリは不可欠な存在だ。心疾患を抱える高齢者や、食物アレルギーで呼吸困難に陥った子供がヘリの搬送で心肺停止を免れた例など実績も多い。
ヒラタ学園は「ドクターヘリの運航で民間が犠牲を払う理由はない」と主張。広域連合長の井戸敏三兵庫県知事は「国に補助金の引き上げを検討するよう要請する。地域医療にヘリは欠かせない存在で、京都府や鳥取県とも対応を話し合いたい」としている。(5/8MEDIFAXより)