「55年通知」論議を本格開始/中医協総会  PDF

「55年通知」論議を本格開始/中医協総会

 中医協(会長=遠藤久夫・学習院大教授)は7月28日の総会で、薬事法で承認された医薬品について医師の学術的判断に基づく適応外使用を認めたいわゆる「昭和55年通知」などを活用したドラッグ・ラグ解消策の議論を本格的に開始した。55年通知では再審査期間が終了した医薬品しか対象にならないことから、各委員は「55年通知だけではドラッグ・ラグを解消できない」との認識で一致。今後はより幅広い視点で患者の医薬品アクセス改善策を検討していく方向に議論が発展した。

 厚生労働省の説明によると55年通知は、1980年9月に当時の厚生省保険局長から支払基金あてに出された。効能・効果や用法・用量を機械的に当てはめず、薬理作用を重視する医師の裁量権を認めたもので、学術上適正に使用する場合には適応外でも保険適用を認める。有効性や安全性を確認する意味合いから、再審査期間が終了した医薬品を対象としている。また、「医薬品の審査に当たっては、厚生大臣の承認した効能効果などを機械的に適用することによって都道府県の間においてアンバランスを来すことがないようにすること」と明記されている。

 また、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、「公知申請された品目を速やかに薬価収載しなければ、実質的なラグが生じかねない」と、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での仕組みについても問題提起した。

 55年通知と、未承認薬・適応外薬検討会議はいずれも、医学的な有用性が公知であるにもかかわらず、実際には適応外使用されている医薬品について、患者アクセスを改善する枠組み。55年通知は症例ごとに保険適用を柔軟に認める内容である一方、未承認・適応外薬検討会議での仕組みは、製薬企業が医学的に公知な新規適応を取得しやすくするのが狙い。新たな治験を行わなくても、既存のデータで公知申請し、効能・効果の一部変更承認を可能にする。(7/15・29MEDIFAXより)

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