「4.8%引き下げへの懸念」で応酬/社保審・介護給付費分科会
厚生労働省が8月10日に開いた社会保障審議会・介護給付費分科会では、国家公務員の地域手当を踏まえて介護報酬の地域区分を見直すことについて、報酬の引き下げにつながるのではとの懸念が広がった。一方、厚労省は「あくまで財政中立の中で、地域格差をどう調整していくかという提案」と説明した。
国家公務員の地域手当をめぐっては、2005年の人事院勧告を受けて5区分から7区分に変更。さらに、俸給表水準を全体で平均4.8%程度引き下げた上で、区分ごとに3−12%としていた地域手当の設定幅を、3−18%に引き延ばしている。厚労省の説明によると、地域手当0%の「その他」地域に住む人が少なかったことなどを踏まえ、俸給表水準を全体で引き下げた上で、1級地や2級地などの地域手当を引き上げたという。ただ、こういった経緯を背景に、この日の会合では「4.8%の引き下げ」に対する懸念が委員から相次いだ。
山田和彦委員(全国老人保健施設協会長)は「人件費相当分を4.8%下げるということは、職員の処遇改善をしなければならない時期に給与を下げろということに等しい」と発言。三上裕司委員(日本医師会常任理事)は、厚労省が「国家公務員給与と同様に介護報酬の水準を引き下げた上で(介護報酬の上乗せ割合を)見直してはどうか」と論点提起したことに言及し「(介護報酬の水準を)4.8%引き下げると読める」と懸念を示した。
一方、厚労省老健局の宮島俊彦局長は「介護報酬の場合は『その他』地域に多数の事業所があるため、4.8%も下がらない」と否定。介護報酬の地域区分は、国家公務員の地域手当とは別の観点で試算を行う必要があるとの考えを示した。その上で「(国家公務員の地域手当は)格差があるのに格差通りになっていなかったから是正した。財政中立なのだから当然、下げた分は上げるところに乗せた」と説明。「プラス改定かマイナス改定かという話と、格差是正の話をごちゃごちゃにされては困る」と強調した。(8/11MEDIFAXより)