「電話トリアージ」で軽症搬送が減少/消防庁・作業部会
総務省消防庁の救急業務高度化推進検討会「重症度・緊急度の判定・選別(トリアージ)に関する作業部会」(部会長=有賀徹・昭和大医学部救急医学講座主任教授)の初会合は9月17日、東京都内で開かれた。2011年度でモデル事業としての実施は廃止が決まっている「救急安心センターモデル事業」の効果分析を行った。実施した3団体では軽症者の搬送割合が低下しており、構成員からは評価する声が上がった。
モデル事業は電話による救急相談窓口を設置し、医師や看護師らが相談員として24時間365日体制で相談を受け付ける事業。09年度は愛知県、奈良県、大阪市が実施した。10年6月の行政事業レビューで「廃止」と判定された。
消防庁によると、モデル事業を実施した地域では09年10月から10年3月までの救急搬送件数は前年度の同期と比べて増加していた。新型インフルエンザの影響があると見られるが「今後詳細な検討が必要」としている。軽症者の搬送割合は、09年中と、モデル事業が一定程度浸透してきたと考えられる10年1月から3月を比較すると、3団体とも約2ポイント低下していた。
構成員からは紹介先の医療機関との連携や、相談を受ける際のプロトコールの統一などが課題として挙がった。同部会では、引き続き相談事業の全国的な普及の方策について検討し、2月下旬にも意見を取りまとめる。
部会では、家庭から病院内まで、各段階でのトリアージの在り方も検討した。消防本部の取り組みや病院内で使われているトリアージのシートなどが紹介されたほか、厚生労働省が整備を進めている小児救急医療相談事業「#8000」の現状や英国での取り組みなども報告された。同作業部会では、今後、家庭で利用できる救急相談マニュアルも作成する予定。(9/21MEDIFAXより)