「資格証」過去最高5020世帯/京都府内 国保料滞納“保険証代わり”交付
国民健康保険料の滞納者に対し、保険証の代わりに交付する資格証明書の京都府内の交付件数が、2008年6月現在で過去最高の5020世帯に達していることが2月18日、分かった。特に京都市は、全体の8割を占める417世帯に上っている。「患者が病院に行くのを自粛する」などの理由から交付を抑制する自治体もあり、市町村によって対応が分かれている。
厚生労働省のまとめによると、府内26市町村のうち、資格証明書を交付したのは京都市をはじめ、宇治市(342世帯)、福知山市(204世帯)、舞鶴市(181 世帯)、亀岡市(84世帯)、京丹波町(56世帯)、城陽市(1世帯)、綾部市(5世帯)の8市町。
京都市は06年度末には3080件だったが、07年度末に約1000世帯増えた。市保険年金課は「06年度に証明書の交付方法を普通郵便から配達記録郵便に変更したが、受け取らない人も多く、翌年から元に戻したため」と説明している。
資格証明書をめぐっては、広島市で受診抑制につながらないように実態を精査し、07年度末に約6000件あった交付数を09年1月にわずか1件にまで減らした。京田辺市も「(医療費を全額払う必要はないが3カ月ごとなどに更新が必要な)短期被保険者証を交付し、こまめな相談を実施している」として、交付していない。
景気低迷で国保料の滞納者がさらに増えるとみられる中、市町村の対応の違いについて、府は「生活の困窮などやむを得ない事情があるかどうか、しっかり実情を把握することが重要」としている。
資格証明書
国民健康保険料を1年以上滞納する人を対象に交付する。医療機関では後に7割が返還されるが、いったん窓口で医療費の全額を自己負担で払わなければならないため、「受診控え」につながると懸念されている。厚労省は08年10月、滞納者の事情を把握し、機械的に交付しないように求める通達を出した。