「自立」と「支え合い」を強調/08年版厚労白書
厚生労働省は8月5日、2008年版厚生労働白書を発表した。08年版白書は「生涯を通じた自立と支え合い―暮らしの基盤と社会保障を考える―」がテーマ。日本社会は国民の「自立」と「支え合い」で成り立っていると指摘した上で、基盤となる社会保障について今後の方向性を描いた。
08年版白書は国民生活を支える社会保障の基本的考え方として、1人ひとりの責任と努力によって営む「自助」をベースに、個人の責任や自助努力だけでは対応できないリスクを支え合う「共助」、さらに自助や共助でも対応できない状況に対する「公助」の3点を挙げ、社会保障の目的は国民が共に支え合いながら健やかに安心して暮らすことができる社会を構築・持続させることにあると指摘した。
また、社会保障には生活安定・向上、所得再分配、経済安定の機能があるとし、医療保険や介護保険を生活安定・向上の機能として位置付けた。特に医療保険については、公的医療保険制度は国民の医療へのアクセスを容易にし、生活の安定・安心をもたらしたとした上で、公衆衛生の充実や生活水準の向上と相まって世界最高水準の平均寿命を実現させたことを評価した。
一方、08年版白書は社会経済の変化に対応した今後の施策の展開を世代ごとに整理した。具体的には「子ども・子育て期の支援」「現役期の就労と所得確保」「高齢期の所得確保と就労」「社会的支援を必要とする人々の就労と所得確保」の切り口で、社会保障の現状と今後の方向性を提示した。
特に医療については08年6月に「安心と希望の医療確保ビジョン」を取りまとめたことに触れ、ビジョン実現に向けて今後、具体的な施策を講じていくとの考えを示した。新たな高齢者医療制度については、低所得者の負担軽減などきめ細かな措置を講じるとともに、制度の円滑な運用に向けて努力する必要性を指摘した。
社会保障のあるべき姿を議論する場として首相が社会保障国民会議を設置したことにも言及。同会議の検討結果も踏まえ、将来にわたり信頼される社会保障の整備に努めていく方針を示した。
さらに、これからの社会保障を構築する視点として、社会経済との調和、世代間・世代内の公平性の確保、現役世代を対象とした施策の積極的展開、家族形態の変化に対応した制度等の構築、社会保障とほかの公共政策との連携強化を挙げた。(8/6MEDIFAXより)