「脱・公的保険依存」で戦略原案/経産省
経済産業省は、医療・介護施設と健康関連サービス産業との連携を強化し、関連サービス産業の拡大を目指す戦略原案をまとめた。医療・介護施設が抱える患者らへの支援を、関連サービス産業が受け入れることにより、公的保険への依存から脱却し、患者・消費者のニーズに応じたサービスの供給体制を構築する。政府が6月にまとめる新成長戦略に盛り込む。
●市場規模1.8倍、雇用は1.5倍に
戦略案では「医療、介護、生活支援などの分野でサービスニーズが急速に拡大・多様化している」とする一方、公的負担の増大や医療機関の負担を問題視。現在のサービス提供体制は「周辺サービスとの連携がなく、医療・介護機関内での閉じたサービス供給になっている」と指摘している。
具体的には、医療機関や介護施設が抱える患者・利用者のうち、生活習慣病支援や慢性期のケア支援などについては、外食・配食サービスやハウスキーピングサービス、フィットネス産業、移動・移送サービスなど関連事業者への受け入れを促進。疾病予防や介護予防、慢性期・終末期の生活支援などもこうした業者が受け入れることで、周辺産業の拡大を図る。
経産省はこれにより、2020年までに関連の市場規模は現在の13.1兆円から24兆円に、雇用規模は150万人から230万人に増加すると試算。公的保険の支出を抑え、病院の負担軽減や医療費の適正化にもつながるとしている。
●看護・介護事業、人員配置の見直しも提案
戦略案ではさらに、医療・介護施設と関連サービスとの連携を進めるため、コーディネーターの制度化を提案した。経産省と厚生労働省が連携して行う施策の方向性としては、看護・介護事業の開業や人員配置、事務管理に関する基準の見直しや、業務連携に関する約款の整備、医行為の明確化を挙げている。
政府内で検討が活発化する「医療ツーリズム」をめぐっては、受け入れ医療機関のネットワーク化や日本の医療ブランドの可視化など供給体制の整備のほか、斡旋機能の整備や専門通訳の育成が必要と指摘。現行の入管難民法の在留資格では、観光や商用などの短期ビザで滞在しなければならない外国人患者に対し、疾病や治療内容に応じた滞在ができるよう「医療滞在ビザ」の新設も求めている。(4/8MEDIFAXより)