「税務調査手続きの明確化」に名を借りて課税庁の権限強化狙う国税通則法「改正」  PDF

「税務調査手続きの明確化」に名を借りて課税庁の権限強化狙う国税通則法「改正」

関係議員に見直し要請

 1月25日に国会に提出された、2011年度税制改正法案を含む「所得税法等の一部を改正する法律案」に、国税通則法の改正が含まれている。

 国税通則法とは、国税についての基本的な事項及び共通的な事項を定め、税法の体系的な構成を整備し、かつ、国税に関する法律関係を明確にするとともに、税務行政の公正な運営を図り、もって国民の納税義務の適正かつ円滑な履行に資することを目的とする法律である。

 11年度税制改正大綱において、「納税環境整備」として、納税者権利憲章を策定するとともに、税務調査手続の明確化、更正の請求期間の延長、処分の理由附記を実施の措置を講じるために、国税通則法が1962年に制定されて以来、最大の見直しを行うとしている。

 改正項目だけを見ると、我々が国税局交渉などを通して毎年要求してきた内容に添っているかのような印象を受けるが、実は、「税務調査手続きの明確化」に名を借りた、課税庁の権限強化のための改正となっている。

 協会では、3月8日開催の定例理事会において、この法改正が実施されると、税務調査に当たって事前通知をしない行政側の裁量の拡大、反面調査の強化、帳簿類の提示・提出の法定化および拒否した場合の罰則(懲役もしくは罰金)の付与、修正申告の強要の合法化、所得300万円以下の白色申告者への記帳義務化と概算経費のあり方の見直しなど、強権的な税務調査体制作りがなされることを危惧し、9項目(上掲)にわたって見直しを求める要請を衆議院財務金融委員40人、参議院財政金融委員25人にファクスで送付した。

衆議院・財務金融委員、参議院・財政金融委員宛
「納税者に新たな義務を課す国税通則法『改正』案の見直しを求める要請」9項目

1、事前通知をしない「例外規定」を修正すること。医療機関には1カ月前に通知をすること。

2、反面調査先への事前通知は削除すること。

3、事前通知書面の記載項目に「調査の理由」を加えること。

4、身分証明書等の自発的な提示を義務付けること。

5、「帳簿類等の提示・提出の罰則付きによる法定化」等は削除すること。

6、修正申告の強要の合法化は削除すること。

7、調査終了後における「再調査」権は削除すること。

8、理由附記は無条件に実施すること。白色申告者への記帳義務化はやめること。

9、納税環境整備PTの下での概算経費控除の「検討」はやめること。

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