「看護師特定能力認証制度」結論出ず/チーム医療推進会議  PDF

「看護師特定能力認証制度」結論出ず/チーム医療推進会議

 厚生労働省は11月18日、「チーム医療推進会議」(座長=永井良三・東京大大学院医学研究科教授)に看護師特定能力認証制度の骨子案を提示した。会合では、骨子案に対し賛否両論が寄せられ結論は得られず、議論を継続することとした。厚労省は12月上旬の社会保障審議会・医療部会に、骨子案とチーム医療推進会議での議論状況を併せて報告する予定だ。

 永井座長は、看護師の特定能力認証制度に関する背景について▽看護師が実施している行為の中にグレーゾーンがある▽柔軟性のない制度とはしない▽グレーゾーンの行為も100%の医療機関で実施されているわけではない―の点は共通認識であると整理。その上で「国家資格とするメリット、デメリット。国家資格としないメリット、デメリットで意見を頂きたい」と委員らに求めた。

 委員からは「医師の指示は大前提。看護師が実施できる範囲が公的に担保されることは重要」(島崎謙治委員=政策研究大学院大教授)、「在宅医療を担う訪問看護師などは能力を認証していただきたい」(太田秀樹委員=全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長)、「国民のニーズに安全に応えるためには、法律で業務を明確化し担保していく仕組みが必要」(大久保清子委員=日本看護協会副会長)として賛成する意見が出た一方で、「国家資格というものは『持っている人はできる』『持っていなければできない』というもの。看護師がさらに認証という国家資格を得る。非常に分かりにくい」(藤本晴枝委員=NPO法人地域医療を育てる会理事長)、「日本医師会としての意見書を出している。医療安全が損なわれないよう慎重な議論をすべき」(藤川謙二委員=日医常任理事)、「実証事業の検証をしないまま議論を早急に進めるのはどうか」(宮村一弘委員=日本歯科医師会副会長)と、慎重な対応を求める意見も上がった。

 結論が得られず、永井座長は「引き続き議論したい」とした。

●有志委員が意見書「12月上旬の医療部会は時期尚早」
 永井座長に対しチーム医療推進会議委員5人、チーム医療推進方策検討ワーキンググループ委員1人の合わせて6人が連名で「特定看護師(仮称)制度について、12月の社保審・医療部会に諮ることは、時期尚早であり、反対であります」とする意見書を提出した。

●診療放射線技師の業務範囲拡大を了承
 厚労省は、チーム医療推進会議に、診療放射線技師が実施する検査関連行為について「診療の補助」として▽造影剤の血管内投与に関する業務▽下部消化管検査に関する業務―を認めるとする案を提示し、同会議から反対はなかった。放射性同位元素を用いた検査(RI検査)も診療放射線技師の業務範囲とする。(11/21MEDIFAXより)

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