「特別枠」に新規事業が集中/厚労省の概算要求  PDF

「特別枠」に新規事業が集中/厚労省の概算要求

 厚生労働省は8月26日、一般会計の総額28兆7954億円となる2011年度予算の概算要求を民主党の厚生労働部門会議に提示した。医療費など社会保障費の自然増分1兆2359億円の影響で前年度比で4.5%増となった。今回初めて導入される首相主導の「政策コンテスト」で各省庁と争奪戦を繰り広げる特別枠の要望額は計1287億円。医師不足対策事業など新規事業の大部分を特別枠で要望する。しかし、コンテストで採用される事業は、省庁全体の要望額の約半分だ。新規事業の成否を分けるコンテストのルールについて、政府からまだ説明がなく不安含みの概算要求となった。

 10年度の概算要求は、各省庁とも10年度予算から原則1割削減した額を予算要求する。1割削減で得た財源2兆3000億円のうち1兆2359億円は社会保障費の自然増に充てられる。残りの1兆円超を特別枠としてマニフェスト項目や成長に資する事業の財源に充てる。各省庁は原則1割削減した額(省庁の合計で2兆3000億円)を特別枠として要望できるが、実際に要望が認められるのは約半額の事業費ということになる。

 厚労省大臣官房会計課によると、省内の各部局に対し、医療費などを除く既存の予算額から1割カットした額で予算要求額を組むよう求めた。特別枠とは別に各部局が新規事業を組もうとすると、既存予算を2−3割カットしなければならない。このため新規事業のほとんどが特別枠に集中した。

 厚労省は特別枠の目玉事業として「子宮頸がん予防ワクチンの公費負担事業」(150億円)や、都道府県ごとに医師派遣の拠点を設ける「地域医療支援センター」(仮称)事業(17億円)など15項目を要望する。

 概算要求に占める医療費の国庫負担は9兆8903億円。前年度比で5%伸びている。協会けんぽが前年度比で600億円増で5.8%増、国保1200億円増で3.7%増、後期高齢者関係1600億円増で4.2%増。合計で3400億円増、このほか公費負担で1500億円増となった。(8/26MEDIFAXより)

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