「機能分化に逆行」と懸念の声/中医協、高齢者の長期入院見直しで
厚生労働省は8月27日の中医協総会で、一般病棟に入院する後期高齢者の入院基本料が91日目から減額される仕組みを緩和するため、診療報酬の留意事項通知を見直す方針を示した。すでに8月5日の与党の「高齢者医療制度に関するプロジェクトチーム」で了承されている内容。10月から減額対象となる脳卒中の後遺症患者や認知症患者であっても、医療機関が患者の退院や転院の努力をしていれば減額しないことにする。ただ、2008年度診療報酬改定で、人工呼吸器を装着してないなど軽度の脳卒中の後遺症患者と認知症患者を減額対象としたのは、一般病棟での長期入院患者としてふさわしくないとの判断だったこともあり、同日の総会では「機能分化と連携の方向性に逆行する」との意見が相次いだ。
厚労省保険局の佐藤敏信医療課長は「今回の措置の対象となる患者は全国で1000人から3000人程度だろう。患者にはそれぞれにふさわしい病棟に入ってもらうとの原則は変えてない。機能分化の方向に水を差すことにならないよう指導したい」と説明した。
厚労省が見直しに踏み切ったのは、地域によっては受け皿施設がなく退院後の患者の行き場がないとの指摘が国会議員などからあったからだ。ただ、西澤委員は「受け皿がないというのなら、医療計画や地域ケア整備構想の中で体制を整えるべきだ。医政局や老健局とも連携を図ってほしい」と注文を付けた。竹嶋康弘委員(日本医師会副会長) も「療養病床再編の議論のときから何度も受け皿整備を指摘してきた。中医協だけでは限界がある」と述べた。勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員) も「(保険局は) 受け皿整備を進めるよう他局に言ってほしい。いつまでも一般病棟に入院しているのはよくない。機能分化をあきらめてはいけない」と強調した。(8/28MEDIFAXより)