「橋下イズム」の本質を分析/九条の会総会記念講演開く  PDF

「橋下イズム」の本質を分析

九条の会総会記念講演開く

 九条の会アピールを支持する京都医療人の会は6月9日、神戸大学名誉教授の二宮厚美氏を講師に、「橋下・維新の会の本質を考えよう〜護憲の立場から〜」と題した講演会を開催。出席者は63人。講演会後には、第5回総会を行った。

 二宮氏は、まず「橋下主義」とは、橋下氏独自の体験に根ざした略奪型競争主義と独裁主義、そして急進的かつ反動的な新自由主義であると分析。端的な例として、誰はばかることなく、「今の日本の政治に必要なのは独裁だ」と主張したことや、職員基本条例などの競争重視の改革が上意下達を徹底させるための強権的官僚方式であることなどを挙げ、警鐘を鳴らした。

 これは、橋下氏が弁護士、あるいはタレントとして、絶対的能力ではなく、裁判の勝敗や、視聴率の奪い合いなどの相対的能力を求められてきたという経過から身につけた志向であり、勝者がすべて正しいという競争万能主義に陥っていると批判した。

 もう一方で、橋下氏が掲げる急進的新自由主義に、なぜこれほどまでの人気が集中するのかについても解説。日本において、小泉政権時に徹底的な構造改革が行われたことから、社会に多くの格差や矛盾を抱えることになった。こうした状況への不安や不満が、反動として橋下氏への期待へと転化し、多くの人の支持を集める結果となっている。

 「維新八策」に盛り込まれた新自由主義的提言は、福祉国家的政策の解体を図ろうとするもの以外のなにものでもない。福祉国家的政策を支えてきた財源を、所得・資産税から消費税に切りかえることにより、個人所得税の累進緩和や、法人所得税の引き下げ、金融資産課税の定率化がその帰結となる。その他にも、混合診療解禁や道州制、年金の積立制度化、参院廃止、そして職員・教育二条例の全国化等など、きわめて急進的な新自由主義とその強行体制づくりで埋め尽くされている。

 橋下氏の本質をしっかりと見極め、大阪市民が目を覚まして声をあげることがなによりも大事であり、そのためにも近隣都道府県からのさまざまな協力をぜひお願いしたいと締めくくった。

講演する二宮厚美氏

講演する二宮厚美氏

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