「支援診等2」減少が京都でも 在宅医療連携の推進には要件見直しが急務
 2014年度改定以降、強化型連携型在宅療養支援病院・診療所(支援診等2)の医療機関数が減少している。14年度改定で要件が厳格化したことに起因すると考えられるが、協会は当初よりその数の推移を注視してきた。連携により支えられてきた在宅医療の基盤が弱まることが危惧されたからである。下図は、14年度改定前後の京都府内における在宅療養支援診療所および在宅療養支援病院(以下、支援診等)の数の推移である。
 支援診等2は、12年度改定で新設された。(1)医師3人要件のほか、(2)緊急の往診実績および看取り実績の要件が求められたが、複数の連携医療機関(10件未満)全体で満たすことでもよいとされた。
 ところが14年度改定では、要件㈪について、複数の連携医療機関で満たすことに加え、各々の医療機関で満たすべき要件(直近1年間の緊急の往診4件以上、看取り2件以上)が課せられた。この要件の経過措置として、半年ごと(2014年9月末、2015年3月末)に1年間の必要数の半数を満たすことが求められ、できなければ、支援診等3(強化型以外の支援診等)への区分変更、または支援診等の取り下げの届出が必要となったのだ。
 その結果、14年度改定前と比較すると、15年5月時点では支援診全体で5医療機関が減少した。支援診2に限っては27医療機関(30・3%)減少した。それらの多くは、支援診3へ区分変更し、若干数は支援診の届出を取り下げたと推測される。一方、支援病全体では、3医療機関増加したが、支援病2では2医療機関減少した。
 14年度改定は在宅医療を行う医療機関の数を増やすという政策が大きく転換されたと言える。一方、「社会保障・税一体改革」が目指す2025年に向けての医療提供体制の再構築、そして地域包括ケアシステムの構築を図るため、在宅医療の充実は重点課題と位置づけられている。診療報酬においても、入院患者の在宅復帰率に対する評価が新設されたり、在宅や施設からの救急患者受け入れの加算が付くなど、在宅医療との連携への評価が色濃く反映されている。
 しかしながら、現状の支援診等の数で今後、さらに必要とされる在宅医療を過不足なく供給できるのか甚だ疑問だ。他医療機関との連携により、在宅医療を成り立たせる医療機関、少しであっても在宅医療を提供しようとする医療機関も含め、在宅医療に携わる医療機関の数を増やすことが必要ではないか。連携により在宅医療を提供する医療機関の裾野が広がれば、病診間だけでなく、近隣の医師との連携、さらには他の専門医との連携も強化され、在宅医療における質の向上も期待できる。地域包括ケアシステムにおいて在宅医療を根付かせる上でも、医療機関の要件強化に固執することなく、連携等により提供される在宅医療も柔軟に評価されるべきであろう。 
支援診等2における経過措置と医療機関数推移
類 型	2014年3月	2014年7月	2014年11月	2015年5月
支援診1(強化型単独型)	1	2	2	2
支援診2(強化型連携型)	89	90	70	62
支援診3(強化型以外)	244	242	252	265
支援診3のうち実績型	—	31	37	37
支援診 合計	334	334	324	329
支援病1(強化型単独型)	3	3	3	4
支援病2(強化型連携型)	12	13	11	10
支援病3(強化型以外)	6	6	8	10
支援病3のうち実績型	—	0	0	0
支援病 合計	21	22	22	24
(近畿厚生局HPより京都府保険医協会調べ)
要件導入前
2014年9月末(直近6カ月で㈰連携医療機関全体の実績+㈪各医療機関で緊急の往診2件以上、看取り1件以上の実績必要)
2015年3月末(直近1年間で㈰連携医療機関全体の実績+㈪各医療機関で緊急の往診4件以上、看取り2件以上の実績必要)
		






