「支援センター」の実働部隊、臨床医2人で/医療部会で厚労省
厚生労働省は、2011年度予算概算要求の特別枠に盛り込んだ「地域医療支援センター(仮称)」の概要を、11月11日の社会保障審議会・医療部会(部会長=齋藤英彦・名古屋セントラル病院長)で示した。地域医療支援センターは、医療の現状に明るい専任スタッフ(臨床医兼任)を実働部隊として設置し、各都道府県の実情に応じて医師の地域偏在解消に当たる。設置場所は各地の実情に応じて都道府県立病院や大学病院、都道府県庁などとする。
この日の医療部会では医療人材の確保が議題に取り上げられ、地域医療支援センターの体制について委員から相次いだ質問・要望に、新村和哉・医政局指導課長が答えた。
厚労省は、地域医療支援センターを設置する中核病院などに若手医師をプールし、キャリア形成支援をしながら、医師不足病院に医師を配置できる体制づくりを目指している。センターには専任医師2人・専従事務職員3人の実働部隊を置き、地域の実情を個々の病院レベルで分析しながら地域偏在を解消する。
大学医学部の医師派遣機能の低下に伴い、都道府県には地域医療対策協議会が設置されている。ただ、この日の会合で、医師派遣の実績(08年度)は非常勤を含め13県で115人と低迷していることが明らかになった。新村課長は地域医療支援センターの予算には人件費や活動経費が盛り込まれていると説明した上で「協議会のような会議体ではなく、医療機関の状況、各都道府県の医師不足の状況を把握・分析し、必要な場合には(医師を)斡旋もする実行部隊あるいは事務局ととらえている」と述べた。
今後は地域枠で入学した医師が増えるため、義務年限内での地域医療の研修や義務年限後の地域医療での活用など、斡旋だけでなくキャリア形成についても考える必要があることから、専任スタッフには医療の中身が分かっている人が必要とし「中核病院の臨床医が兼務しながらやってもらう手もある」と述べた。各都道府県の実情によっては、都道府県庁に設置し、公平かつ主体的に運営することもあり得るとした。(11/12MEDIFAXより)