「患者申出療養」「都道府県別医療費総額管理制度」で患者と医療は守れない  PDF

「患者申出療養」「都道府県別医療費総額管理制度」で患者と医療は守れない

 
(署名趣旨解説)
患者申出療養は「実験医療」
 
 患者申出療養は、「困難な病気と闘う患者」のニーズを隠れ蓑にした経済成長優先の政策である。新薬や新治療法等の臨床データ確保において、「スピード感」のみが強調され、被験者保護、安全性確認のための慎重な取り組みといった観点は見受けられない。臨床試験段階にある医療では、被験者の側に被害が発生することは、ある程度予測しておくべきことであるにもかかわらず、それへの対応を患者と医療提供者間での民事的対応に委ねようとする国の姿勢は無責任であり、医療技術を商品と見立て、その開発のための「実験医療」に患者と保険財政を活用することが目的との誹りは免れない。
 わが国の国民皆保険制度は「いつでも、どこでも、誰でもが保険証一枚で必要な医療を必要なだけ」保障される仕組みである。臨床試験段階にある医療であっても、その開発が患者利益に資すると考えられるのであれば、試験段階から保険適用して被験者保護を徹底し、患者負担についても一般の医療と同様に引き下げるべきである。保険財政を理由にそれを拒む意見があるが、先進医療部分をすべて保険適用してもその割合はわずか0・03%程度(2013年度実績)である。
 
医療費抑制の切り札「医療費総額管理制度」
 
 さらに、国は「医療費適正化計画」の実効性をあげるとして、「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」で「都道府県が医療費の水準や標準的な病床数を設定するための算定式案」を検討している。これは、フランスのONDAMなどを参考にした、骨太の方針2014における都道府県ごとの医療費総額管理を具体化するための準備作業。
 国の決めたガイドラインに沿って算出される都道府県の医療費総額や必要病床数がはじめにありきとされ、いやおうなしに都道府県は住民の医療の充実という目標を見失って、一定の枠内での医療を強制されるのではないかという危惧が払拭できない。協会はこの2課題に対し、医療者の声を届けようと、会員署名を提起している。

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