「急性期」47万−56万人を想定/国民会議、医療・介護費推計の前提
政府の社会保障国民会議サービス保障分科会は9月9日、2025年に必要とされる医療・介護費用について、病床機能分化や介護サービスとの連携強化などの効率化を進めた場合を想定した「3つの改革ケース」に分類して推計することを決めた。高齢化による需要増を現行サービス提供体制に当てはめた場合、25年の1日当たり一般病床入院患者は104万人になると想定。機能分化を進めることで「急性期病床」は47万−56万人に、「亜急性期・回復期病床」は36万−47万人に割り振られると仮定する。
効率化を進めた場合の「改革ケース」は、医療費適正化計画による平均在院日数短縮や生活習慣病予防対策の目標などを踏まえて需要を設定する。3分類のうち2分類では一般病床を「急性期」と「亜急性期・回復期」に分割。さらにもう1分類では「急性期」を「高度急性期」(18万人) と「一般急性期」(34万人) に細分化。医療資源を急性期に重点配分するとともに、亜急性期・回復期との連携を強化する。
医療療養病床の長期療養患者は現行体制のままなら36万人になると見込まれるが、それぞれの分類で21万−23万人に抑える。介護施設入所者も現行体制ベースより抑えた場合を想定する。一方で現行体制ベースでは408万人と見込まれる在宅介護サービス利用者は424万−429万人に増えることを想定するなど、在宅・居住系サービスの強化を図った場合を仮定している。
今後の推計では、こうした体制の下で提供されるサービス量にサービス単価を掛けて算出することになる。急性期や亜急性期・回復期、長期療養のサービス単価には、平均在院日数短縮に対応するための人材配置の引き上げや医師とコメディカルの間の役割分担による効果などを加味する。また、経済成長や技術革新による医療費全体の伸びも加味して試算する。
国民会議は10月中旬に最終報告を取りまとめる方針で、同分科会がまとめる医療・介護費用の将来推計が「宿題」となっている。(9/10MEDIFAXより)