「大胆な改革」で公費負担は約14兆円増/国民会議推計、消費税は4%上げ
政府は10月23日の社会保障国民会議サービス保障分科会に2025年に必要とされる医療・介護費用の推計を示した(資料3)。急性期医療の重点化や在宅医療、介護の強化などの改革を進める3段階の「改革ケース」を想定して試算した結果、現状(07年度) で約41兆円(GDP比7.9%程度)の医療・介護費用は25年に約91兆−94兆円(同11.6−12.0%) となり、改革をしない場合(現状投影ケース) の約85兆円(同10.8−10.9%) を上回った。
25年の医療費は改革ケースで67兆−70兆円、現状投影ケースで66兆−67兆円。介護費用は改革ケースで23兆−24兆円、現状投影ケースで19兆円となった。
医療・介護費用の伸びを現状の財源構造に当てはめた場合、追加的に必要となる公費負担分の財源は3つの改革ケース「穏やかな改革」「大胆な改革」「さらに進んだ改革」のいずれも約14兆円となり、消費税率に換算すると4%程度の引き上げが必要となる。現状投影ケースでは約11兆円の公費負担の追加財源が必要で、消費税率換算で3%程度となる。保険料負担分の追加財源は、改革ケースの場合「政管健保の保険料率を2%程度引き上げに相当する」としている。
改革ケースのうち、急性期医療の職員を倍増させ、平均在院日数を10日に短縮する「大胆な改革」の場合、医療費に占める入院の割合は現状の40%から48%に上昇。外来や訪問診療の割合は現状の60%から52%に下がる。医療・介護費の合算で見ても、急性期と亜急性期・回復期等の割合は現状の26%から30%に上がる一方、外来や訪問診療の占める割合は現状の50%から38−39%に下がる計算となる。
ただ、病院は急性期医療への特化を図るため、病院の外来の割合は現状の18%から7%に大きく下がるのに対し、診療所は現状の32%程度が維持される見通しだ。長期療養の占める割合も3%程度で推移することになる。
介護費用に占める各種サービスの割合は「大胆な改革」の場合、小規模多機能型居宅介護が1%から8%に上がる一方、特別養護老人ホームなどの介護施設は44%から34%に下がる。在宅介護は45%から47%に、有料老人ホームやグループホームなどの居住系サービスは10%から11%に、それぞれ上がる。医療・介護費合算では、在宅介護の割合が8%からほぼ2倍の14%となり、介護施設の割合は8%から9%に、居住系サービスは2%から3%に上がる。(10/24MEDIFAXより)