「地域医療確保」要求の3割に減額/厚労省の11年度予算案  PDF

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 2011年度の厚生労働省の予算案は、特別枠として62億円の予算獲得を目指した地域医療確保推進事業が19億円となり、要望の31%にとどまる厳しい結果となった。

 地域医療確保推進事業として厚労省は▽地域医療支援センター(仮称)の設置(17億円)▽臨床研修の指導体制の充実(29億円)▽チーム医療の総合的な推進(16億円)−を要望していた。同事業について「元気な日本復活特別枠に関する評価会議」は12月1日、地域医療再生基金での対応を求め、政策コンテストの結果をC判定としていた。

 地域医療に従事する医師のキャリア形成支援と、同時に若手医師を医師不足病院に配置する地域医療支援センターについて厚労省は、47都道府県での設置を目指したが、11年度は5.5億円の予算で先行的に15カ所設置することになった。先行設置する都道府県の選定は▽医師の地域偏在が大きい▽へき地が多い▽無医地区が多い▽病院数が多い─などの観点から5つのカテゴリーを設定し、それぞれ3カ所ずつ選ぶ考えだ。

 チーム医療の推進事業では、315カ所での検証事業(特定看護師業務拡大検証260、チーム医療検証55)を目指したが、予算案は3.6億円となり、90カ所(特定看護師50、チーム医療40)に絞り込むことになった。

 29億円を要望した臨床研修の指導体制については、10億円の予算で医師不足地域の指導医・研修医を確保するための事業として絞り込み、大学病院・中核病院と中小病院・診療所が連携する臨床研修に財政支援する。

 地域医療確保推進事業と同様に特別枠で要望し、評価会議がC判定とした「健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト」は、要望額(232億円)の56%に相当する131億円となった。一方、B判定を受けた「働く世代への大腸がん検診推進事業」は41億円、「国民の安心を守る肝炎対策強化推進事業」は35億円となった。

●医療給付費国庫負担は8.4兆円
 医療費国庫負担の医療保険制度別内訳は、協会けんぽ1兆1108億円(10年度比6.3%増)、国保3兆3703億円(同2.0%増)、後期高齢者医療3兆9179億円(同4.9%増)。合計では10年度比3.9%増の8兆3990億円となっている。支給額が42万円で恒久化される出産育児一時金に関する保険者への財政支援は10年度よりほぼ半減し92億円を計上。医師国保など国保組合への補助も見直し、10年度比36.2%減の74億円の計上となった。

 介護関係の新規事業では、制度化に向けて検討している「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」を60カ所で実施する事業などに27億円を計上。デイサービスセンターで利用者の一時的な宿泊を受け入れる「お泊まりデイサービス」について、調査研究として行う事業も実施する。介護職員などがたん吸引を実施するための研修事業には、9.4億円を計上した。(12/27MEDIFAXより)

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