「地域区分」の見直し俎上に/社保審・介護給付費分科会
厚生労働省は4月27日の社会保障審議会・介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東京大名誉教授)に、人件費の地域差を介護報酬に反映させるため設定している「地域区分」について、2012年度介護報酬改定で見直すことを提案した。現在は5区分としている地域割りを、7区分としている国家公務員地域手当の地域割りに準拠するよう見直すことの是非が焦点となる。区分ごとに設定している報酬の上乗せ割合の再検討も俎上に載せる。地域割りの見直しについては、11年度上旬に基本方針を固める見通しで、その後、介護事業経営実態調査の結果などを踏まえて全体的な結論を得る予定だ。
現行の介護保険制度では、人件費の地域差を勘案し全国を▽特別区▽特甲地▽甲地▽乙地▽その他―の5区分に分け、区分ごとに介護報酬単価の上乗せ割合を定めている。さらに、収入に占める人件費の割合に応じ、各介護サービスを「人件費率70%」「人件費率55%」「人件費率45%」の3類型に分類。「地域割りごとの上乗せ割合×人件費割合」で、報酬単価の割り増し率を決めている。地域割りごとの上乗せ割合が10%で、人件費率70%のサービスの場合は「10円×0.1×0.7=0.7円」となり、報酬単価に0.7円が上乗せされる。
介護保険制度の地域区分をめぐっては、2000年の制度創設時に国家公務員制度を基本に5区分に設定した。国家公務員制度は06年度から7区分に見直したが、介護保険制度は従来の5区分を踏襲。09年度介護報酬改定では、介護保険制度の地域区分の見直しが俎上に載ったものの実施はせず、今後の検討課題となっていた。
ただ、国家公務員地域手当の地域区分は国の官署がある地域だけを対象に設定しているため、厚労省は、介護保険制度で準拠する場合は官署がない地域の取り扱いを検討する必要があるとして論点に挙げた。
国家公務員の給与については、05年の人事院勧告を受け民間賃金の低い地域を考慮し、俸給表水準を全体で平均4.8%程度引き下げており、厚労省は、介護保険制度で区分ごとに設定している報酬単価の上乗せ割合を検討する際に考慮が必要とした。サービスごとの人件費割合については、現行の設定を踏襲するのか見直すのかについて議論が必要とした。(4/28MEDIFAXより)