「地域包括ケア」の推進必要/宮島老健局長
厚生労働省老健局の宮島俊彦局長は3月13日、京都市内で開かれたアジア慢性期医療学会の講演で「施設を利用したい人には施設ケアを、在宅で過ごしたい人には在宅で必要な医療や看護、介護ケアを提供していくということが、これからの方向だろう」と述べ、高齢者に必要なケアを地域で一体的に提供する「地域包括ケア」の整備を進める必要性を強調した。
宮島局長は、地域包括ケアの整備に向け▽在宅医療▽介護▽生活支援などの福祉▽住宅―の4つの分野を充実させる必要があるとした。
住み慣れた自宅で看取りまで行えるよう、在宅緩和ケアの推進が必要とも指摘。医師による訪問診療と、訪問看護や訪問介護を一体的に提供しているケースは現時点では少ないとし「地域システムとして取り組んでいかなければならない分野」とした。
ホームヘルパーについては「身体ケア、基礎的な医療ケア、機能訓練、認知症ケアを提供できることが理想」と提案。見守りや緊急時の通報など、福祉分野でのNPOの活躍に期待したほか、ケア付き住宅の整備などを国土交通省と連携して進めていくと
した。
急性期病院、一般病院、療養病床、介護老人保健施設、介護老人福祉施設など、さまざまな形で医療や介護が提供されている現状について「患者の状態に応じて、ふさわしい病院や施設を利用できればよいが、実際はどの地域でもこれがフルセットでそろっているというわけではない」と指摘。「何回、居場所が変わることになるんだ、という疑問がどうしても出てくる。地域包括ケア、在宅ケアといった受け皿がないと解決しない問題」と述べた。(3/16MEDIFAXより)