「在宅医療拠点」を法的位置付け/厚労省、医療法改正へ  PDF

「在宅医療拠点」を法的位置付け/厚労省、医療法改正へ

 厚生労働省は在宅医療を推進するため、在宅医療の連携拠点機能を持ち在宅患者の病状急変時への対応が可能な診療所・病院について施設基準や人員配置などの指定要件を設け、法的に位置付ける方向で検討を開始した。10月27日に省内で開いた社会保障審議会・医療部会(部会長=齋藤英彦・国立病院機構名古屋医療センター名誉院長)で、医療法に位置付けることを提案した。2012年の通常国会に提出する医療法の改正法案に盛り込む考えで、在宅医療連携体制についての数値目標を地域の医療計画に記載することも提案した。出席委員からの目立った反対意見はなく方向性は大筋でまとまった。

●知事承認の名称独占に
 医療法で位置付ける目的について、医政局指導課の福原康之在宅医療推進室長は「都道府県知事の承認による名称独占になる」とし、都道府県は在宅医療連携の拠点となる診療所・病院の所在地や数に加え、申請・実績報告によって地域の在宅医療の実態を把握できるようになると説明した。医療法では名称独占できる医療機関として、特定機能病院(国承認)と地域医療支援病院(都道府県承認)の役割や施設要件、人員配置要件を定めている。

 在宅医療連携拠点医療機関の役割として厚労省は▽連携拠点機能▽在宅患者の急変時対応が可能な在宅医療提供体制構築▽介護する家族への支援─を示した。連携拠点機能として、医療・介護関係者間の協議の場を開き、多職種連携のための人員配置・人材育成を求める。急変時対応では、複数の医師を配置し1人開業医を24時間体制でサポートすることや、災害時対応の計画策定などを求める方針だ。

 厚労省は11年度の新規事業で、在宅医療連携拠点のモデル事業を全国10カ所で開始している。医師・看護師・社会福祉士・介護職など地域の多職種協働による支援体制や、医療・介護が連携した継続的・包括的な在宅医療提供体制の構築を目指している。12年度は47都道府県各2カ所(計94カ所)に拡大するため、31億円の予算を要望している。各地で地域特性に合った在宅医療が展開できるよう、さまざまなモデルの構築を進める。

 医療計画で数値や連携体制の目標を記載することについても大きな反対はなかった。13年度から実施する新たな医療計画については、医政局の検討会が見直しに向けて議論を進めており、年内にも報告書を取りまとめる。(10/28MEDIFAXより)

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