「参加型社会保障」へ転換を/10年版厚労白書
政府は8月27日、2010年版厚生労働白書を閣議決定した。薬害肝炎問題や年金記録問題の反省を踏まえ、「厚生労働省改革元年」と位置付けて省内改革を盛り込むとともに、社会保障の将来像として、本人の能力を最大限に引き出し、労働市場、地域社会、家庭への参加を保障する「参加型社会保障(ポジティブ・ウェルフェア)」を提唱するなど、長妻昭厚生労働相のカラーを全面に打ち出した内容となっている。
白書は2部構成。第1部では年金記録など旧社会保険庁をめぐる問題と、薬害肝炎問題の反省点を盛り込み、それぞれへの対応を記載。薬害再発防止に向けた取り組みとして薬害再発防止に向けた検証・検討委員会からの提言に基づき、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の安全対策要員の増員などに取り組んでいるとした。
さらに内部改革の取り組みとして、人事評価に独自の評価基準を導入したことや、省・各局の組織目標を公表したこと、無駄の排除に向けた省内独自の事業仕分けに取り組んだことなどを盛り込んだ。
第2部では、新型インフルエンザ対策を中心とした直近の政策課題への対応を盛り込むとともに、「参加型社会保障」の概念を解説。従来の社会保障を「消費型・保護型」と位置付け「保護すべきニーズを満たすことに主眼が置かれ、サービスが消費されるだけに終わってしまい、それだけでは何も生み出さない」と指摘。医療・介護分野では、従来型社会保障の課題として、医師不足や医療機関のネットワーク不足、入院期間の長期化、在宅医療・福祉サービス不足などを挙げ、「参加型社会保障」では、救急医療を中心に医療機関の役割分担と連携による早期の社会復帰や、中学校区などでの在宅医療・福祉サービスを整備することなどをうたっている。
(8/30MEDIFAXより)