「医療再生」テーマに医療研究集会 京都から垣田・山本氏が演題発表
「医療再生」をテーマに、第26回保団連医療研究集会が9月17・18日の2日間にわたって熊本で開催され、全国から医師・歯科医師・コメディカル等772人が参加した。京都からは垣田副理事長、山本昭郎環境対策委員が参加し、分科会でそれぞれ報告を行った。
初日の記念講演は、「広がる貧困と医療に求められること―医療への期待と医師の自立」をテーマに弁護士で反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児氏が講演。弁護士として、サラ金・クレジット問題、多重債務問題に向き合ううちに、背景にある貧困問題を解決しなければ、根本的な解決にならないことに気付き、精力的に反貧困問題に取り組んでいることが紹介された。医師に対しては、国の医療政策を根本から転換させる運動が必要であること、最も医療が必要とされているところに、自身が医療を提供するなど、「動く」ことが大事であると強調した。
介護保険10年の取り組み
2日目の分科会で垣田副理事長は、日々の在宅医療における介護保険の位置づけ等について10年を総括。医療保険「老人デイケア」として出発した通所施設が、2000年4月より自動的に介護保険の「通所リハビリテーション」へ移行したこと。移行後10年間の施設内での取り組みや、介護報酬に翻弄される日々などを紹介。医療機関でありながら、介護保険で運営される通所リハビリテーションの課題を提示した。
NO2測定結果を報告
山本環境対策委員は同委員会で取り組んでいる、NO2濃度の測定調査結果について報告。これまでの調査結果と比較し、最近は大気汚染の高い地域と低い地域の差が縮まり、平均化していること。そして、府内全体に広がる傾向を示していることが報告された。道路整備が進んだことや高速道路の利用促進策が進められていることなど、北部等の汚染が少ないきれいな地域は、消滅しつつあることを解説。それを踏まえて、京都府で進められている高速道路建設の問題点や、梅小路公園で建設が行われている京都水族館の問題点について報告した。
2日目午後は「医療連携の光と影」「子どもの虐待」「診療所におけるヒヤリ・ハットの現状と効果的な取り組みを考える」の3つの市民公開シンポジウムが開催された。「子どもの虐待」では、それぞれのパネリストから、被害者に対する心のケア、虐待が発達時の子どもの脳にもたらす影響について、学校歯科健診の現場における虐待の初期対応について、虐待問題への取り組み状況などが報告された。
記念講演の宇都宮健児弁護士