「医師不足、原因は臨床研修」で賛否両論/2省の合同検討会

「医師不足、原因は臨床研修」で賛否両論/2省の合同検討会

 医師の卒後臨床研修と大学の医学部教育を一体的に見直すため、厚生労働省と文部科学省は合同で「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」を設置し、9月8日に初会合を開いた。検討会の座長には自治医科大の高久史麿学長が、座長代理には順天堂の小川秀興理事長がそれぞれ就いた。同日の自由討議では、卒後臨床研修制度が医師不足の要因かどうかに議論が集中したが、賛否は分かれた。

 検討会は月1回程度の頻度で開催する予定で、年内をめどに一定の結論を得る。次回は、医師数や医療費の国際比較、高等教育予算など客観的なデータを両省が提出し、地域医療や医学教育の状況がどのように変化したかを探る。

 自由討議で聖路加国際病院の福井次矢院長は「臨床研修制度を医師不足の最大の原因ととらえるにはデータ不足だ」と指摘。一方、岩手医科大の小川彰学長は「国による医師数の削減政策は続いてきたが、毎年、少しずつ増えてきたのは事実。にもかかわらず医師不足が顕在化した。その間に変わった制度は、臨床研修制度しかない」と述べ、臨床研修制度が医師不足の要因の1つだとの認識を示した。全日本病院協会の西澤寛俊会長は「臨床研修制度が大きな要因だとは思っていない。臨床研修制度がなければ、医療崩壊は今以上にあったかもしれない」と述べ、さまざまな面から分析する必要性を指摘した。

 同日の会合には舛添要一厚生労働相と鈴木恒夫文部科学相が出席。舛添厚労相は冒頭「臨床研修制度は水準を上げるという意味で決して悪いものではない。そうした評価も行いながら、どこに問題があるかを探っていきたい」と述べた。一方、鈴木文科相は「医師として備えるべき診療能力を効果的に身に付け、医師不足が深刻な地域や診療科で活躍する医師を養成するには、医学部教育と卒後臨床研修を一体的に見直すべきだ」と指摘。検討会の結論を踏まえ、厚労省と連携しながら必要な対策を講じる考えを示した。(9/9MEDIFAXより)

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