「北部の医師不足拍車」見直し要求へ/研修医削減案で国に京都府
地方の医師不足を招いたと批判される臨床研修制度の改革を目指し、厚生労働省が発表した都道府県ごとに定員上限枠を設ける案に対し、研修医枠を大幅に削減される京都府は3月12日までに、近く同省に見直しを求める意見書を提出する方針を固めた。上限枠設定で全国で最も厳しい削減が求められるため、府は「府内の医師不足が悪化し、大変な状況を招く」と反発している。
厚労省は3月、医師の都市部偏在を解消するため、人口当たり医師数などから算出して都道府県ごとに研修医定員の上限枠を新設する制度改革案をまとめた。大都市の定員数を抑制し、地方への誘導を図っていくが、同省の試算では東京、大阪、京都など5都府県が削減対象とされた。
中でも京都府は、208年度採用された研修医数は274人だが、定員上限を190人とされた。84人減で、削減率約30%は全国で最も厳しい数字だ。当面は1割減とする激変緩和措置を設けているが、それでも府は27人を削減しなければならない。
府保健福祉部は「京都大医学部と府立医科大は先端医療や基礎研究も担っており、京都で研修した多くの新人医師が府外で活躍している。研修医数を人口比に機械的に当てはめて削減する国の考え方は、医師不足の府北部などに深刻な影響を与える」と強く反発している。
16日に府内の大学病院関係者の意見を集約し、厚労省に見直しを求める意見書を提出する。