「処遇改善加算」明示せず/介護給付費分科会、審議報告案を基本合意
社会保障審議会・介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東京大名誉教授)は12月5日、2012年度の介護報酬改定の方針を示す審議報告について基本合意した。11年度末で終了する処遇改善交付金後の措置については、全会一致が得られず、介護報酬での対応としながらも「処遇改善加算」での対応は明示しない。厚生労働省は、会合で上がった意見なども反映させて細部を修正し、各委員が確認した後に審議報告を公表する。
処遇改善措置については、前回11月24日の会合に厚労省が提出した審議報告案にあった「当面、介護報酬において、事業者における処遇改善を評価し、確実に処遇改善を担保するために加算を設けることはやむを得ない」との記述を「(介護報酬内で)必要な対応を講ずることはやむを得ない」へ修正した。
会合では、久保田政一委員(経団連専務理事)が「加算というのであれば反対」とし、「(介護実調などから)収支の改善もだいぶ進んでおり、事業者には十分処遇改善に回せるだけの余力があるのではないか。昨今の経済不況下の中で、この分野だけ特別扱いするのはいかがなものか」とあらためて述べるなど、処遇改善加算に対する反対意見は最後まで残った。
一方、田中滋委員(慶応大大学院教授)は「前回『加算』と書いてあったのが、何とでも読める形式になったが、これはきっと加算」と述べ、審議報告での言及は弱まるものの加算での対応は変わらないだろうとの見通しを示し「使い道を(本給だけに)縛るべきではない」と指摘した。
●構造上・外形上一体で「同一建物」
「同一建物に併設」の定義については、老健局振興課の川又竹男課長が、事業所が構造上、外形上、住居と一体となっているものを想定しているとした上で、「同一敷地内の別棟や、道路を挟んだ向かい側などは『同一』としない」と説明した。
12年1月に予定する次回会合で諮問・答申を行う予定。(12/6MEDIFAXより)