「公的な認証含めた仕組み」で決着/看護師特定認証で医療部会
社会保障審議会・医療部会(部会長=齋藤英彦・国立病院機構名古屋医療センター名誉院長)は12月22日、医療部会としての取りまとめである「医療提供体制の改革に関する意見(案)」(改革意見案)について前回に引き続き議論した。看護師特定能力認証制度の「公的認証」をめぐり、削除あるいは大幅な修正を求める委員と、厚生労働省案を支持する委員の間で意見が対立した。協議の結果、今後も継続的な議論が必要との考え方を改革意見案に盛り込む一方で、「公的認証」については「公的な認証を含めた仕組み」との表現に変更するなど、公的な認証を幅広く捉えることができるよう修正する方向で決着した。
医政局医事課は今後、齋藤部会長と相談の上、最終的な修文案を決定するとしている。医療計画の見直しに関する報告についても了承した。
看護師特定能力認証制度は、看護師が実施する上で高度な知識や判断が必要な一定の医行為を「特定行為」として明確化し、教育研修を受け、厚生労働大臣による認証を受けた看護師は「医師の包括的な指示」の下で特定行為を実施することができる仕組み。業務独占・名称独占ではなく、一般の看護師であっても「医師の具体的な指示」と安全管理体制があれば「特定行為」の実施が可能だ。厚労省は保健師助産師看護師法の改正を目指している。
医療部会では、認証制度を議論してきた「チーム医療推進会議」の座長である永井良三委員(東京大大学院医学系研究科教授)に対し、中川俊男委員(日本医師会副会長)が「なぜ(一般の看護師に対する)具体的指示では駄目なのか。(看護師特定能力認証制度を)国民、患者が本当に望んでいるのか」と説明を求めたことを皮切りに議論が始まった。永井委員はこれまでの検討経緯を含めて説明したが、看護師への「具体的指示」以上に「包括的指示」が持つ重みや、認証制度の必要性について、中川委員らは納得しなかった。
西澤寛俊委員(全日本病院協会長)も、認証制度が看護師全体の質の底上げにつながるのか、医療の質的向上につながるのかなど、議論すべき課題は多いと指摘。相澤孝夫委員(日本病院会副会長)は「(認証看護師の)一定以上の能力の範囲が不明瞭な中で公的な認証を決めるのは問題ではないか。将来的な方向性としては理解できることから、議論の余地を残すようにしてはどうか」と提案した。
これに対して患者の立場から海辺陽子委員(NPO法人がんと共に生きる会副理事長)は、現在の医療は不透明であり国民に分かりやすい形で医療が提供されるべきとして、認証制度の具体化と推進を求めた。「患者たちは、きちんと説明がなされれば、認証看護師とそれ以外の看護師を区別するようなことはしない」とも語り、一歩ずつ制度化を進めるよう求めた。
中川委員は、患者に分かりやすい医療の提供は大事であり、その意味からも特定行為自体が明確になっていない中での結論は拙速だと指摘した。(12/26MEDIFAXより)