「介護療養型老健は新設も認めるべき」/
介護給付費分科会で東京都
9月18日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会では、療養病床再編について意見交換があった。東京都福祉保健局の狩野信夫高齢社会対策部長は、都では2012年度末の療養病床数を逆に増やす方針をとったことを説明。再編後の受け皿については「医療区分1を受け入れるには、今の介護療養型老健で本当に十分なのか。受け皿として介護療養型老健を想定するなら、転換のみではなく、新たな創設も認めるべきだ」と指摘した。
東京都では医療費適正化計画で、医療療養病床と介護療養病床の約2万1000床を、12年度末には2万8000床まで増やす方針を示した。都は高齢者人口10万人当たりの療養病床数が全国41位。狩野氏は「今後医療区分2、3の高齢者は増加し、近隣県に入院している患者も多い」と説明し、増加分については、一般病床から医療療養病床に転換するための補助金制度を08年度から実施しているとした。
一方、高齢者10万人当たりの療養病床数が全国1位の高知県は、12年度末の療養病床目標数を現行の約半数に当たる3082床とした。高知県健康福祉部の山本治高齢者福祉課長は「医療機関に対する調査では、入院患者にとって望ましい施設として特養を上げる率が最も高かったが、特養への転換を希望する病院はほとんどない状況」と述べ、特養への転換の支援措置が必要との見方を示した。
これに対し、武久洋三委員(日本慢性期医療協会長) は「高知県のように半分を減らすという計画は医療必要度を十分調べなければならない。医療療養病床の必要性は増すことがあっても減ることはない。療養病床数が人口に比べて非常に少ない東京都は、(増やす方針は) 賢明な選択肢だ」と述べた。(9/19MEDIFAXより)