「世界に誇る日本の医療」断固守る/野田首相、TPP交渉参加表明
野田佳彦首相は11月11日、環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する方針を表明した。首相官邸で記者会見し「APEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会合で、TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と述べた。その上で「世界に誇る日本の医療は断固として守る」と強調した。
野田首相は交渉参加の理由について、アジア・太平洋地域の成長力を取り込む経済的観点を挙げ、「各国がわが国に求めるものについて情報収集に努め、十分な国民的議論を経た上で、国益の視点に立ってTPPの結論を得たい」と述べた。11月10日に予定していた表明会見を持ち越した理由については、政府・民主三役会議、関係閣僚と断続的に協議した結果とし“熟慮の結果”だったとして理解を求めた。
参加交渉の是非をめぐっては、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会が国民皆保険への影響を懸念し「国民の医療の安全と安心を約束しない限り、交渉参加は認められない」として慎重な対応を求めてきた。野田首相は会見で、政府が断固として守り抜く分野として「伝統文化」「美しい農村」とともに「世界に誇る日本の医療制度」を挙げ、「分厚い中間層によって支えられる安定した社会の再構築を実現する」と述べた。
関税の撤廃については「即時撤廃、段階的な撤廃、例外(品目)があるのかまだ定まっていない。国益を実現するため協議する」と強調した。
●「公的保険は壊さない」
TPP交渉参加の是非をめぐっては、3師会が政府に対し「将来にわたって日本の公的医療保険制度を除外すると明言する」「混合診療の全面解禁を行わず、医療への株式会社の参入をさせないことを個別、具体的に国民に約束する」の2点を要望してきた。
野田首相は衆参集中審議で「公的保険を壊すようなことはあってはいけない」と主張した。ただ、TPP交渉上の議題について「どのような話が出てくるか分からない」として、混合診療の全面解禁や医療への株式会社の参入など個別の事案には言及しなかった。(11/14MEDIFAXより)