「サービス付き高齢者住宅」を創設/改正法案を閣議決定
政府は2月8日、生活支援サービスを提供する「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度の創設を盛り込んだ高齢者居住安定確保法(高齢者住まい法)改正案を閣議決定した。厚生労働省が2012年度の介護保険法改正で創設する24時間対応の定期巡回・随時対応サービスとの組み合わせにより、高齢者が住み慣れた地域で在宅生活を送れるようにする。
●高齢者賃貸住宅と有老ホーム、一元的に再編
現行制度では▽高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)▽高齢者専用賃貸住宅(高専賃)▽高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)―の3種類ある高齢者賃貸住宅は高齢者住まい法(国土交通、厚労両省所管)で、有料老人ホームは老人福祉法(厚労省所管)で規定されている。改正案では、一定基準を満たした高齢者賃貸住宅と有料老人ホームを、高齢者住まい法の下で一元的に再編し、サービス付き高齢者住宅として都道府県に登録する制度を創設する。
サービス付き高齢者住宅では、安否確認と生活相談を必須のサービスとし、食事の提供や家事援助などの生活支援サービスを提供。▽居住部分の床面積が25? 以上▽トイレ、洗面台などの設置▽バリアフリー構造を持つ―などの登録基準を省令で定める。
サービス付き高齢者住宅の創設に伴い、高円賃・高専賃・高優賃の各制度は経過期間の後に廃止。有料老人ホームは存続させるが、登録を受ければ老人福祉法で規定する届け出義務の適用を除外する。
国交省によると、高齢者人口に対する高齢者住宅の割合は0.9%(05年)。デンマーク(8.1%、06年)や英国(8%、01年)を大きく下回っており、国交省は20年までに3−5%まで増やすことを目標に掲げている。整備を促進するため、国交省は11年度予算案に前年度の2倍を超える325億円を計上した。建設費の10分の1(1戸当たり上限100万円)、改修費の3分の1(同)を補助するほか、住宅金融支援機構の融資要件を緩和。税制上も優遇する。(2/9MEDIFAXより)