「これまで通り訪問診療続ける」が46%/高齢者施設が調査
2014年度診療報酬改定で、一日に同じ建物に住む複数の患者を訪問診療した場合、「訪問診療料」「在宅時医学総合管理料(在総管)」「特定施設入居時等医学総合管理料(特医総管)」が減算される。訪問診療を受ける側の有料老人ホームなどの事業者で構成する全国特定施設事業者協議会はこのほど、改定が訪問診療の方針に与える影響を調査し、3月13日に結果を公表した。
緊急調査は、会員施設を552法人を対象に2月27日から3月7日にかけて実施。高齢者施設が連携医療機関から聞き取った204件と、高齢者施設への訪問診療に携わる医療機関が直接答えた77件の合わせて281件の回答を得た。
今後の高齢者向け住まいの入居者に対する訪問診療の方針を複数回答で尋ねたところ、「これまでどおりの体制で訪問診療を続ける」が46.3%で最も多かった。一方で「体制の見直しや診療の効率化等を行い、訪問診療を続ける」との回答も42.0%あった。このほか「一部の高齢者向け住まいへの訪問診療を止める」7.5%、「医療機関自体を廃院する」2.8%、「高齢者向け住まい全般への訪問診療を止める」2.5%と続いた。
診療の効率化策については▽対象者を分散して訪問し、効率化を図る▽複数の医師体制から単一の体制(眼科・皮膚科医などはなくす)への変更▽新規入居者は外来扱いとし、訪問診療を月2回から3カ月に1回に変更―など、さまざまな意見が寄せられた。
特定協は、厚生労働省が3月5日に示した「一定の緩和策」について、一定の場合には従来通りの特医総管を算定できるが、大幅な引き下げ自体は見直されていないとし「引き続き特定施設入居者に適切な医療が届き、安心して最期を迎えることができるのか懸念が残る」との見解を示した。
●緊急相談窓口を開設
訪問診療を行う医療機関の廃業や撤退によって、訪問診療を受けられない可能性がある会員事業者向けに、特定協の中に緊急相談窓口を設置した。寄せられた相談に対して、医療機関の斡旋や紹介を検討するという。(3/17MEDIFAXより)