2018年は激動の医療界!

2018年は、医療・介護の制度が大きく変わる年になります。
診療報酬・介護報酬も同時改定となります。

今回の医療・介護制度改革は、かつての小泉政権による社会保障制度構造改革をベースに、 都道府県による医療費管理・抑制体制を強化・完成させるものといえます。 小泉改革以降、都道府県は医療費適正化計画を策定し、5年1サイクルで医療費の推移を見通し、 平均在院日数短縮や特定健診・保健指導実施率等を数値目標化し、取組みの結果、医療費がどれだけ 抑制できるのか?を追求することが求められています。

医療費適正化計画はすべての都道府県に策定が義務付けられる法定計画ですので、京都府も例外でなく、 計画を持っています(但し、名称は「中期的な医療費の推移に関する見通し」)。2018年4月から第3期計画は 医療費の「支出目標」を、国が提供する一律の計算式で設定させられ、計画に書き込むことになっています。 また、計画期間は5年1サイクルから6年1サイクルになります。 「6年」というのは、同時に2018年4月から新たな計画期間に入る「医療計画」と同じです。 医療計画は都道府県による医療提供体制政策の計画書です。新たな医療計画は、従来の基準病床数の設定に加え、 昨年度策定された地域医療構想を含むものであり、病床数・病床機能管理を強化するものです。 また、在宅医療についてもこれまで以上に強化することが求められています。

国のねらいは、都道府県が医療提供体制を管理しつつ、医療費適正化計画に定めた支出目標の範囲に医療費を 抑えることを求めているのです。 医療提供体制だけではありません。2018年4月からは都道府県が国保の保険財政の管理を担うことになります。 これが「国保都道府県化」です。 まとめていうと、都道府県が医療費適正化計画における医療費支出目標の達成をめざし、医療計画で医療提供体制を 管理し、国保で保険財政を管理する。これが国の描いている絵なのです。 年末になって、京都府は立て続けに以上の計画の案を公表し、パブリックコメントを求めています。

第3期中期的な医療費の推移に関する見通し パブリックコメント募集 http://www.pref.kyoto.jp/iryohoken/news/20171220pubcomjissi.html

京都府保健医療計画 パブリックコメント募集
http://www.pref.kyoto.jp/hofukuki/hokeniryoukeikaku-publiccomment.html

また、京都府は12月7日の「国保広域化等協議会」(京都府と市町村の協議の場)で、 国保都道府県化後の各市町村の保険料試算を初めて公開しました。

試算のURL  http://www.pref.kyoto.jp/iryohoken/documents/siryo3_171207.pdf

府の試算結果は、2016年度決算時点の納付金(保険料)に対し、旧制度(都道府県化しない)のままだと 18団体が上昇・8団体が減少。都道府県化によって9団体が上昇し、17団体が減少。 上昇となる9団体に国による激変緩和のための追加公費を充てることで、全市町村が都道府県化後、 幅はあるものの納付金(保険料)負担が減少するというものでした。

しかし、これはあくまで「仮係数」の 試算であり実際には12月下旬に厚生労働省が提示する「最終の確定係数」が示され、それに基づく都道府県による 納付金算定や各市町村による保険料率決定(議会議決事項)を経て、本当の保険料が決まります。 したがって今回の試算はあくまで傾向を捉えるためのものと考える必要があるでしょう。 また、今回の試算結果は、平成28年度の各市町村による「法定外一般会計繰入」が、都道府県化後も 行われるという前提になっています。法定外繰入は、各市町村が保険料を抑制するなど、様々な政策判断で 実施してきたものです。この繰入を続けるかどうかは、市町村に判断が委ねられています。 これがどうなるかによっては、「保険料は上がらない」とは言い切れないのが実情です。

来年度は、新専門医制度もスタートします。 激動の医療界ですが、私たちの望む医療の姿を、国や自治体に提言する取組を進めてまいります。

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