眼科の再審査事例を紹介  PDF

 協会は、眼科診療内容向上会を京都府眼科医会との共催で、4月22日に市内ホテルにて開催した。京都府眼科医会保険医療委員会委員長の松本康宏氏による「保険点数の留意事項と最近の審査事情」の解説が行われた。当日の参加は84人。

眼科診療内容向上会レポート
 最初に保険医協会の垣田理事長からあいさつがあり、その中で眼科保険診療上の問題点も示された。コンタクトレンズ検査後は初診料が算定できない事や、白内障手術料が下がっていく点などであり、これらに対しては今後厚労省に働きかけるとのことであった。
 次に眼科医会の松本康宏理事から、保険者からの再審査事例について説明があった。要約すると、①「近視」の病名で眼筋機能精密検査は算定できない。「斜視」や「弱視」の病名が要る。②「近視性乱視」では角膜形状解析は算定できない。「円錐角膜」や「外傷性角膜穿孔術後」などの病名が要る。③「狭隅角」では眼底三次元画像解析は算定できない。網膜、視神経の病名が要る。④細菌培養同定検査を両眼にしても一回分しか算定できない。⑤「偽落屑症候群」の病名では視野検査は算定できない。「高眼圧」や「緑内障」の病名が要る。⑥眼処置を算定するには眼帯あるいは罨法が必要であり、かつ「眼帯」「罨法」と注記した方が良い。
 ⑦「流行性角結膜炎」で偽膜除去して結膜異物除去を算定するには「偽膜除去」の注記が必要。⑧霰粒腫切除術時、キシロカインPAは5ml、タリビッドなどの点眼、軟膏は1ml、1gまでの使用が原則で、これ以上の場合は注記が必要。⑨涙点プラグ挿入術には「乾性角結膜炎」あるいは「シェーグレン症候群」の病名が必要で、「ドライアイ」は不可。⑩白内障手術時、呼吸心拍監視は算定不可。全科とも局麻では不可。ただし非観血的連続血圧測定は算定可。⑪「黄斑浮腫」でブロナックは不可。炎症性疾患の病名が必要。⑫ジクアス、ムコスタ、ヒアルロン酸Naには「ドライアイ」あるいは「乾性角結膜炎」の病名が必要。「涙液分泌減少症」は不可。⑬「アレルギー性結膜炎」で、ステロイド・抗アレルギー点眼薬と同時処方の抗菌剤は算定可。
 ⑭青本には「患者が任意に診療を中止した場合、1月以上経過した後には初診として取り扱う」とされているが、「同一の疾病または負傷であると推定される場合は、初診として取り扱わない」ともされている。したがって数カ月後の受診時、初診料を算定するなら、傷病名やカルテに初診の根拠となるものが記載されていることが望ましい。前回と全く同じ病名、診療内容では初診算定は困難である。⑮黄斑浮腫に対してマキュエイドテノン嚢下注射が認められた。この場合「黄斑浮腫」の病名が必要である。(西陣・辻 俊明)

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